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2013/12/16更新

日経ビジネス経営教室 カルロス・ゴーン リーダーシップ論

73分

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リーダーは「実際的」であれ

ルノーから日産に移り、COOに就任した1999年、日産は経営危機に陥っていた。日産はそれまで何度も経営再建を目指したが果たせなかった。原因はビジョンを描けず、人々の足並みを揃える力がなかった点にある。こうした内なる危機については、4つの具体的な対策がある。

①ビジョンを策定すること
②明快な優先順位を付けること
③社員に闘う価値があるビジョンだと納得してもらうこと
④ビジョンを実現するために厳しい決断を下すこと

これが「日産リバイバルプラン」の全貌だった。解決策は社内にあった。社員たちは、各々の責任領域で会社を好転させる方法を知っていた。問題は全社的な視点が欠けていた事だった。縦割りになって情報が分断された状態では、生産能力が過剰とわかっていても、どれぐらい削減したらいいのかわからないといった問題が起きる。

そこで「クロスファンクショナルチーム(CFT)」を発足させた。各部門から人を集めて協力させる仕組みで、派閥主義や縦割りをなくし、全体最適を追求するツールである。これは、次々に生じるムダに対策を講じる監視役として機能し、常に最大限にパフォーマンスを上げる事ができた。

CFTの取り組みを進めているうちに、重要な副産物が生まれた。会社の課題解決に取り組まざるを得ない立場に人を置く事で、それぞれの社員が持つリーダーシップを確認する機会が得られた。リーダーシップは複雑な問題に対処し、コミュニケーションを取り、関係者のモチベーションを高めていく、という過程で初めて発揮される。だからこそ、CFTの結果として、会社を支える大勢のリーダーが生まれた。

CFTに選ばれた人以外にも、会社の課題を解決する貴重なアイデアを持っている人は大勢いる。そこで、日産はCFTの他に「V-up」と呼ぶ、部門や工場、地域レベルでの部門横断プログラムを導入した。CFTとV-upの神髄は、問題の解決法を見つけるプロセスにできる限り多くの社員を参画させる事である。

闘う勇気を持つべし

就任後の14年は大きく、「再生」「回復」「成長」「飛躍」という4つの段階に分けられる。当然、各段階で求められるリーダーシップは異なる。

危機的な状況にあっても、経営陣が長期的な会社の存続に必要な決断を下す事を躊躇する事が少なくない。それは、厳しい決断というものは、短期的には非常に軋轢を生む不都合なものだからである。その背景には2つの理由がある。

①状況が理解できていない
②勇気がない

リーダーは必要な時には勇気をもって闘わなければならない。そして、リーダーは人の心の機微に、しっかり対応しなければならない。だが、その判断においては、合理性と理論を優先させなければならない。結果を出すと思えばこそ、部下は付いてきてくれる。