日産を経営危機から再生させたカルロス・ゴーン社長が、リーダーシップについて語った1冊。「再生」「回復」「成長」「飛躍」という4つの段階において、リーダーはどのようにあるべきかが書かれています。
■危機下のリーダーシップ
危機に対処するに当たり、まずリーダーにとって重要となるのは、客観的な状況判断と分析である。重要なのは、希望的観測や予断を持たずに数字を常に注視すること。客観的な事実の把握なくして、適切な対策は生まれない。
客観的に状況が把握できれば、次に起こる展開を想定する事ができる。問題が一時的なものにとどまり、最終的に通常のビジネスに戻るのか、もしくは長引くのか。そういった長期予測に基づいて工場に投資し、商品を市場に投入するかどうかを判断していく。
次に重要なのは、「権限委譲」である。危機においては、経営トップに権限を集中させない方がいい。すべてをリーダーが支配し決めるような体制では、迅速さに欠ける事になり、危機を乗り切る事はできない。短期と長期の処方箋を定めたら、現場に権限を委譲する。現場のリーダーが速やかに対応し、事実を上に報告する体制を整える。経営陣は部下を支え、危機にきちんと対応できているかを確認し、必要な意思決定はする。こうして、危機が組織に与える影響を最小限に抑える。
リーダーは、感情よりも合理性と理論を優先させなければならない。結果を出すと思うからこそ、部下は付いてきてくれる。
著者 カルロス・ゴーン
1954年生まれ。ルノー 取締役会長兼CEO 日産自動車 社長兼CEO 仏ミシュランを経て、1996年に仏ルノーに入社。1999年、日産自動車のCOO(最高執行責任者)に着任して日産リバイバルプランを策定、経営危機にあった同社を立て直した。2000年に日産社長、2001年にCEO(最高経営責任者)就任。ルノーでは2005年に社長兼CEOに就任、2009年から会長兼CEOを務める
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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プロローグ 日産自動車に舞い降りた救世主 | p.2 | 5分 | |
1時間目 危機下のリーダーシップ リーダーシップは4度変わる | p.25 | 12分 | |
2時間目 協業のリーダーシップ 後発の中国市場で躍進した理由 | p.61 | 11分 | |
3時間目 飛躍のリーダーシップ 「物語」がブランドを育てる | p.95 | 9分 | |
4時間目 育成のリーダーシップ 「変革者」を生み続ける | p.123 | 7分 |