若手に仕事を任せる
赤城乳業では「ガリガリ君」などの主力商品は、プロジェクト方式で開発が進められる。商品開発部門だけでなく、製造や品質保証、営業など機能横断的なメンバーが抜擢され、プロジェクトが組織され、新商品の検討が進められる。「ガリガリ君プロジェクト」の構成メンバーは8名。20〜40代まで幅広い年齢層から選ばれるが、年齢や職位に関係なく、自由闊達な議論が行われる。
赤城乳業では1人ひとりの裁量権が大きい。たとえ新入社員であろうが、大きな仕事をいきなり任される。社内では「放置プレイ」と呼ばれるほど、任せたら余計な口出しはしない。本人がアップアップするまで、追い込んでみるのが、赤城乳業流の人づくりの極意だ。
すべての源は働く社員の「やる気」である。赤城乳業で働く若手社員の多くがイキイキしているのは、モチベーションを高めるための様々な工夫を行っているからだ。「上から目線でなく、下から目線で見ていくことが大切」というのが井上社長の言葉。常に社員の立場を考え、下からの目線の考え方が根付いているから、若手社員でも自由闊達に何でも「言える」ようになる。
「言える化」の実践方法
赤城乳業で「言える化」が機能し、社員たちが躍動しているのは、次の2つの工夫が行われているからだ。
①「言える化」を実践する「場」の設営
11の委員会と5つのプロジェクトが、縦割り組織に横串しを刺すように編成され、社員たちが縦横無尽に動き回る。リーダーは年齢や役職に関係なく、目的遂行に最も合致した人が選ばれる。時には入社数年目の若手が抜擢される事もある。「自分たちに任されている」と自覚する事が「言える化」につながる。
②「言える化」を加速する「仕組み」の構築
「場」の設営に加えて、そこで働く人同士の心が開き、つながるため様々な仕組みを工夫し、長年に亘ってつくり込んできた。
・失敗にめげない評価の仕組み
挑戦に伴う失敗を、通常の人事考課とは切り離して処理する。失敗の原因が個人やチームの過失だと判断されれば、数万円程度のペナルティが課せられる事もあるが、失敗は帳消しとなり、通常の人事考課には影響を与えない。むしろ挑戦した事は加点として評価される。
・部下が上司を評価する仕組み
部下が上司について評価するシートが用意されている。評価シートは上司を経由せず、直接人事担当者に送られ、それに目を通すのは社長、専務、管理担当役員のみ。
・「学習する組織」へ脱皮する仕組み
「赤城社会大学」と呼ぶ研修プログラムをつくっている。さらに、自己啓発を目的とした多様な通信教育を充実させている。
・帰属意識を高める仕組み
社員旅行など仕事を離れたコミュニケーションを増やす事で、お互いを知り、心が開く状態をつくろうとしている。