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2013/12/20更新

「機会不平等」論 人は格差を背負って生まれてくる?

175分

3P

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結果と機会のどちらを重視するか

平等・不平等を議論する際、結果と機会の差は極めて重要である。例えば、アメリカでは種や性による差別を少なくするために、法律や規制によってクオータ(割当制)を導入して、人種の比率や男女比をあらかじめ定める方向にもっていく政策が採用されている。これは「結果の平等」を求めたものと言える。このような厳しい「結果の平等」を求める政策を導入しないと、平等社会を達成できないとの合意があったので、罰則を含んだ法律が作成されたと言える。それに対して、わが国の「男女雇用機会均等法」は、法律による処罰の規定が曖昧で、男女の「結果の平等」は進んでいない。

強力な平等政策を採用すれば、「逆差別」や「非効率」といった副作用が生じる。しかし、これは短期間で消失する可能性が高い。現にアメリカは割当制の導入によって、大きな目標を達成した。従って、わが国も割当制や積極的差別是正措置の導入をもっと積極的に図ってよい。

結果と機会のトレードオフ

「機会の平等」の前提は「公平な参入機会」と「非差別の原則」である。「機会の平等」が望ましい原則であるのは、差別があってはならない、とする人権や市民権に立脚した原則であるだけでなく、希望者に参入の機会が与えられれば、経済効率が高まるメリットがあるからである。しかし、「機会の平等」が行き過ぎると、有能でない生産性の低い人が「クオーター」の発令によって採用され、有能で生産性の高い人が排除される場合がある。従って「機会の平等」を貫徹する事は、両刃の剣なのである。従って、「機会の平等」策の実行にあたっては、厳密に効果を測定した上で、導入の検討がなされるべきと言える。

公正とは何か

機会均等論を展開する際には、人々の背後に「公正」感が潜んでいる。世界は公正でなければならないと人は思うから、機会も平等であらねばならない、と多くの人が判断するからである。公正感とは、個人がその資格や条件にふさわしいやり方で処遇されているかという印象に関するものである。

公正に関する限り最も多くの人が関心を抱く議題は、公正要因である。簡単に言えば、人々の間でどのように資源なり所得を配分する事が公正であるか、という論点である。その基準は次の4つが考えられてきた。

①衡平基準:有能な人の処遇を高めて、有能でない人の処遇を低くする
②均等基準:衡平基準において、極端な所得格差が生まれた場合に是正しようとする
③必要基準:人が必要とする最低限の生活水準が保たれるようにする
④努力基準:どれだけ頑張って努力したのかを基準にする

公正要因は、企業における人事の処遇策、政府が経済政策を遂行する時に、どのような条件下になされるかといった点で深い意味を持つ。