「はとバス」大ヒットの仕掛け人が、企画のコツを紹介しています。
■はとバスの企画とは
はとバスの創業は昭和23年。以来、都内の定期観光バスを中核として事業を拡大し、「はとバス」の愛称で親しまれてきた。平成25年の乗客数は92万人に上る見込みで、わずか10年余りの間に77%の利用者増を達成した事になる。だが、こうした状況になったのは、ごく最近の事に過ぎない。約10年前、はとバスは、バブル崩壊と平成大不況の直撃を受けて、利用者が激減。倒産寸前の状態まで追い込まれた。どん底から這い上がるべく、全社を挙げてコスト削減と顧客満足運動が進められた。その中で、数々のヒット企画が生まれ、はとバスは息を吹き返す事ができた。はとバスが復活できた理由の一端は、まさに「企画の力」にあったといっても過言ではない。
はとバスの企画は「企画千本ノック」と呼ばれる会議から生まれる。これは、年4回の旅行パンフレットの更新の際に行われる企画会議のこと。はとバスでは、1人のプランナーが1年間に作る企画の数は50本を超える。だが、実際に商品化までこぎ着けるのは、全体の2割以下に過ぎない。パンフレットに掲載される定期観光コースは、通年運行のものと、季節によって入れ替えるものに分けられる。この内、全体の2割に当る30本はフルモデルチェンジを行い、新規のコースとして投入する事になる。
売れる企画を作るためには、提供する側の都合ではなく、「お客さまの笑顔」を起点にして考える必要がある。その前提を踏まえた上で、企画段階で「これはヒットするな」と予感する事がある。1つは、企画会議の席上で「これならいけそうだ」と全員の意見が一致した時。もう1つは、企画の段階で、何度もやり直ししながら課題を1つずつクリアし、時間と手間をかけながら商品を形にしていった時だ。企画は子育てと似ているところがあり、手間と愛情をかければかけるほど結果がついてくる。
著者 江沢 伸一
1968年生まれ。はとバス 定期観光部 副部長 1992年はとバス入社。関連会社で国内旅行全般の商品企画部門を担当後、出版広告部門で12年にわたり旅行パンフレットの制作・広告営業に携わってきた。2009年に本社定期観光部に配属されると、「川崎工場夜景」や「恋するラブバス」など、斬新な発想で数々のユニークなツアーを企画。
週刊 ダイヤモンド 2013年 11/2号 [雑誌] 紀伊國屋書店和書仕入本部係長 水上 紗央里 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.1 | 2分 | |
プロローグ | p.13 | 3分 | |
第1章 満員御礼!はとバスツアー10番勝負 | p.19 | 28分 | |
第2章 大公開!はとバス企画会議の秘密 | p.71 | 15分 | |
第3章 秘伝!?ヒット企画を生み出す23の法則 | p.99 | 41分 | |
第4章 はとバス65年史にようこそ! | p.175 | 12分 |