ヘッドハンターである著者が、ヘッドハンターがどういう方法で人を探しているのか、どういうポイントを見ているのかを紹介している1冊。
■ヘッドハンターの仕事とは
一般に、それまでその企業では手がけた事のない分野の事業を立ち上げる場合、経験者をどこかから連れてくるのが最も手っ取り早い。かといって人材を公募したら、事業戦略を同業他社に知られてしまうおそれがある。外部に動きを読まれないで改革に着手するために、ヘッドハンターの力が必要である。
企業にとって悩ましいのは、彼らが求めている、仕事のスキルも高くて企業の風土にも合うようなピカピカの優秀な人材は、求人誌や転職サイトにはなかなか応募していない事である。そこにヘッドハンター(サーチ型)の出番がある。サーチ型によるアプローチの特性上は、どうしても転職を考えていない人に突然、接触する事が多くなる。50人の候補者に手紙を送ったとして、何らかのレスポンスをくれる人は10人程度、会ってくれるとしても、最初から「今は転職する気がありませんけど」と応じてくる人が大半である。
■ヘッドハンターの着眼点
ヘッドハンターは、以下の5つの要素を軸に総合的に判断して、依頼企業にマッチする候補者を絞り込む。
①頭のよさ
頭のよさは「論理的思考力」が優れている人と「創造的思考力」が優れている人の2つのタイプに分かれる。頭のよさは面接している時、こちらが投げかけた質問に対する受け答えで、ある程度わかる。論理的思考力は学歴などとの相関関係が強いため、経歴を見るだけで判断しやすい要素である。それに対して創造的思考力には相関関係のある指標が少なく、容易には判断できない。候補者がどちらのタイプなのかは特に見極めが必要な重要なポイントの1つである。
②物事に取りかかる際の動機
これは3つのタイプに分ける事ができる。達成感、影響力、賞賛、闘争心などが動機になって能力を発揮するタイプ。人との関係を重視し、社交性があって、仲間とともに感動できる仕事に喜びを感じるようなタイプ。強いリーダーを求める傾向があるタイプである。
③思考行動特性
問題点の発見や解決手法の開発力となる「What構築能力」と、経験や知識から最適手法を導き出す力である「How能力」に分かれる。
④各自が持っている資質の中で特に強い資質は何か
資質には「構築力」「想像力」「協調性」「包容力」「切断力」「攻撃性」「カリスマ性」などがある。どんな資質が必要とされるのかは、企業の状況・ステージにより大きく異なる。
⑤知識やスキル
具体的な知識や技能は、優先順位として実際は高くないし、これは採用企業が見極めるべきポイントである。
著者 武元康明
1968年生まれ。サーチファーム・ジャパン 会長 全日空エンタープライズにて国内外のホテル開発(全日空ホテル)、シンガポール航空で営業企画、宣伝・広報、ニュージーランド航空にて営業企画、宣伝・広報。キャプランではコンサルタントとして九州支店に配属、東京本社に異動後は営業開発部 部長。エクゼクティブサーチ事業部へ転属。 2003年サーチファーム・ジャパン設立。約19年の人材サーチキャリアを持つ。経済界と医学界における世界有数のトップヘッドハンター。日本型経営と欧米型の違いを経験・理解し、それを企業と人材のマッチングに活かしている。
マインドマップ的読書感想文 smooth |
週刊 東洋経済 2013年 12/14号 [雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.11 | 4分 | |
第1章 これがヘッドハンターの仕事だ | p.19 | 26分 | |
第2章 「日本型スカウト」が増えている | p.67 | 15分 | |
第3章 ヘッドハンターはここで人を探す | p.95 | 13分 | |
第4章 あなたはこうして見極められる | p.119 | 15分 | |
第5章 いいヘッドハンターがあなたの人生を変える | p.147 | 13分 | |
第6章 一瞬でわかる「できる人」「できない人」 | p.171 | 14分 | |
第7章 あなたが今日からできること | p.197 | 12分 | |
おわりに | p.220 | 1分 |
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