並外れたサービスを継続的に実現するためには、どのような戦略が必要となるのかを紹介する1冊。
■並外れたサービスを実現するために必要なこと
数々の調査によれば、消費者の満足度を大きく左右するのはサービスの質だ。質の高いサービスを提供している企業は市場で大きなシェアを獲得し、そういう企業に対する消費者の忠誠心は簡単には揺るがない。ところが、現実には良質なサービスに出会う事はあまり多くない。わざわざ質の悪いサービスを提供したい企業経営者や社員はいないのに、質の悪いサービスがまかり通っている。
研究によれば、並外れたサービスを生み出すのは、意識づけや努力ではない。必要なのは、ビジネスの青写真を描く際に正しい選択をする事だ。質の高いサービスを提供している企業は、スタッフが難なく実践できるように、サービスの内容、コスト構造、従業員と顧客のマネジメントシステム、企業文化を構築している。すべてのスタッフが無期限に、毎日毎日、英雄的な活躍をし続けるという前提でシステムを設計しても、決してうまくいかない。システムを機能させるためには、上質なサービスが特別な行動ではなく、ごく普通の行動となる仕組みを作る必要がある。そのために必要なのが、最も重要な要素以外を切り捨てる事なのである。上質なサービスを提供したければ、いくつかの側面であえて質の悪いサービスを提供する勇気と覚悟が必要である。
「すべてが最高」という考え方には無理がある。あらゆる面で高水準のサービスを提供しようとすれば、ほぼ確実に、精彩を欠いたサービスしか生み出せない。上質なサービスを実現するためには、必ず何かを犠牲にしなくてはならないからだ。顧客が最も重んじている側面で上質なサービスを提供したければ、それ以外の側面でサービスの質を落とす事が避けて通れない。
サービスビジネスの落とし穴の1つは、自分を欺こうという衝動に負けやすい事だ。「自分たちは、あらゆる面で最高のサービスを提供できる」「問題の原因は従業員にある」などというように、経営陣が間違った認識や勝手な思い込みを抱く事が少なくない。落とし穴を避けるためには、自分の姿を鏡に映し、直視する必要がある。
著者 フランセス・フレイ
ハーバード・ビジネススクール教授 専門はサービスのデザインとオペレーション。
著者 アン・モリスコンシア・リーダーシップ・インスティチュート マネジング・ディレクター 経営コンサルティング会社のマネジング・ディレクター。
TOPPOINT |
帯 ハーバード・ビジネススクール教授 クレイトン・クリステンセン |
日本経済新聞 |
日経ビジネス |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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序章 サービスエコノミーの時代? | p.7 | 11分 | |
第1章 原則1──「すべてが最高」には無理がある | p.22 | 38分 | |
第2章 原則2──誰かがコストを負担しなくてはならない | p.75 | 29分 | |
第3章 原則3──それはスタッフの責任ではない! | p.116 | 29分 | |
第4章 原則4──顧客をマネジメントせよ | p.156 | 35分 | |
第5章 企業文化をカタチにする | p.205 | 29分 | |
第6章 「サービス」を武器に成長する | p.245 | 32分 | |
おわりに | p.290 | 3分 |
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