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2013/11/14更新

データ分析ってこうやるんだ! 実況講義―――身近な統計数字の読み方・使い方

205分

1P

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誤ったデータからは、誤った結果が出る

「日本全国の10〜64歳のパソコンからのインターネット利用者」を対象にした、大規模な調査に基づくデータといった、年齢制限のあるものやネット調査は、データにだまされやすい人は読むべきではない。例えば、日本交通公社は、旅行の計画を立てる時の情報収集源について、複数回答可で調査した結果を、2008年調査と2011年調査で比較していた。そのうち「ネットの検索サイト」では、女性20代だけ回答率が下がっているが、他の人たちではネットの検索サイトと回答した割合が高まっている。但し、日本交通公社は、2008年と2011年とでは調査方法を変えている。2010年からインターネット調査に切り替えたのである。例えば「女性70歳以上」が「ネットの検索サイト」を情報源と回答した割合は、9.1%から46.7%にまで異常に上がっている。

統計学の威力を利用したいなら、やってはいけない注意事項があるが、とりわけ大切なのは「サンプルデータの偏りを避ける」事である。インターネット調査は、この点で致命的な欠点を持つ。60歳以上の人口でみると、インターネット調査がカバーできるのは49%だけである。70歳以上の女性となると、カバー率は30%を切る。対象者の約7割の人たちからサンプルを抽出できない事は大きな問題である。インターネット調査を参考にすると、裕福な高齢者を軽んじて、貧乏でネット上での無料に慣れた若者に重点を置く、愚かなマーケティング戦略や価格戦略を選びやすくなる。

インターネット調査をいくらやっても、本当にビジネスで使えるデータは、原則として集まらない。携帯電話会社、コンビニ、ファストフードなどの企業が、自分たちのビジネスの中で集めた顧客情報でなければ、今の日本ではビジネスに使えない。ビジネスの参考にしたいなら、データはできるだけ自分たちで集めるべきで、他の誰かが調べたデータは慎重にチェックすべきである。

データの選び方は慎重に行う

日本の「24歳以下(15〜24歳)の女性の失業率」を学歴別にみると、2012年平均で、高専・短大卒なら5.5%、大学・大学院なら7.1%となっている。1.6%の差は、失業率としては十分に大きな差で、この傾向は昔から続いている。

15〜24歳の高専・短大卒のグループと大学卒のグループを比較する場合、主に21〜24歳の短大卒と、主に23〜24歳の大学卒を比較する形になる。そのため、両者の失業率の違いは学歴よりも年齢構成の違いによってもたらされた可能性が高そうだと疑うべきである。何と比べるかによって意味が変わってしまうデータはたくさんある。