セブン‐イレブンを築き上げた著者が、どのように顧客のニーズを捉えるのか、その考え方を紹介した1冊。消費者の心理を読むための基本的な考え方が書かれています。
■お客様の立場で考える
「売る力」とは、お客様から見て「買ってよかった」と思ってもらえる力である。だから、売り手は常にお客様の求めるものをかなえる「顧客代理人」でなければならない。
モノあまりの買い手市場においては、「売る力」は売り手側ではなく、買い手側を起点に考えなければならない。モノが豊富にある世の中で人は何を求めるのか。私はよくこんなたとえ話をする。テーブルにいろいろな料理が並んでいる。お腹が空いている時は、全部食べられるから、あまり好きでないものから食べ始めて、最後に好物をとっておこうと考える事もできる。これに対して、お腹が一杯の時は、好きなもの、そして、目新しいものを選んで食べようとする。今はモノあまりで、お客様はお腹が一杯の状態にある。だから、新しい価値を提供できるものしか売れない。そうなると、一番重要なのは、お客様に新しい価値を感じてもらえるよう、いかに「お客様の立場で」考える事ができるかであると。
今はモノあまりで、新しい価値を提供できるものしか売れない。真の競争相手は競合他社ではなく、絶えず変化する顧客のニーズである。そのためには、売り手側が変わり続ける事で、お客様に変わらず満足してもらうのである。今の時代、変化しない方がリスクが高い。
自分たちが変化していく際に、常に心掛けなければならないのは、常に何かをプラスオン(付加)し続ける事である。食べ物であれば、より美味しく、より鮮度をよく、各種サービスであれば、使い勝手をより高めていく。お客様にとって今日の満足は明日は当たり前になる。明日の満足のためには、常にプラスオンされたものが求められる。プラスオンの積み上げこそが大事なのである。セブンイレブンの足跡はその繰り返しだった。
著者 鈴木敏文
1932年生まれ。セブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長CEO 大学卒業後、東京出版販売株式会社(現トーハン)に入社、出版科学研究所や広報部に所属。トーハンでの仕事の関係で大宅壮一やその門下生らと交友関係を持ち、その仲間と一緒にテレビ局を設立することを準備。たまたま近くを通ったイトーヨーカ堂で、テレビ局の構想を持ちかけたところ、「それならうちの会社でやりましょう」という話となり入社。 30歳で、当時5店舗しかなかった株式会社イトーヨーカ堂に入社以後、創業者伊藤雅俊の懐刀として、39歳の時に米国で広まりつつあったコンビニエンスストア事業を知り、1973年、新聞広告などで集めた15名の素人集団で株式会社ヨークセブン(現:セブン-イレブン・ジャパン)を設立。 米国 Southland Corporation(現7-eleven.Inc.)からフランチャイズ権を得て経営手法の指導を受け、翌年5月に1号店を東京都江東区にオープンした。自らの卓越した経営手腕と消費者マインドを読む技術によりセブン-イレブンを国内小売店業界最大手にまで育て上げ、世界が最も注目する日本人経営者の一人となっている。
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マインドマップ的読書感想文 smooth |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.7 | 4分 | |
第1章 「新しいもの」は、どう生み出すのか? | p.15 | 42分 | |
第2章 「答え」は「お客様」と「自分」のなかにある | p.93 | 26分 | |
第3章 「ものを売る」とは「理解する」こと | p.141 | 29分 | |
第4章 「本気」の人にチャンスはやってくる | p.195 | 28分 |
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