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2013/10/31更新

会社の「仕組み」を知っている人だけが、上手くいく ~入社3年目から絶対知るべき人事・評価・人間関係の基本~

  • 楠木 新
  • 発刊:2013年10月
  • 総ページ数:184P

124分

1P

  • 古典的
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専門性が高いだけでは、転職も独立もうまくいかない

若い時ほど、専門性を身につければ会社に認めてもらえる、あるいは憧れの起業家やコンサルタントに一歩近づけると思う傾向が強い。しかし、専門的な知識は会社が求める絶対条件ではない。会社が求める絶対に必要な条件は「メンバーの一員として働いてくれるかどうか」である。この対人関係力こそが、組織の内外を問わずビジネスで活躍するための最大の条件である。

人のツテしか本当のセーフティネットにならない

「いつリストラされるか、いつ倒産するか分からない」と言う人の多くが、「だから、いつでも自立できるように準備しておかなければ」と考えがちである。そういう人は、例えば、専門資格を取得したり、大学院などに通って能力を高めたりする事が、いざという時のセーフティネットになると思っている。

しかし、本当のセーフティネットは「人のツテ」しかない。仮にリストラだ、倒産だという憂き目に遭った時、資格やMBAを取得していても、いきなり独立して仕事に結びつくかというと難しい。それよりも仕事を通して培ってきた会社の先輩や同僚、あるいは学生時代からの友人、知人の人脈、家族との関係が自分を救ってくれる確率が高い。そういう意味で、ある一定期間会社にしがみついて、メンバーの一員として仕事をしてみるというのは大事な経験である。

周囲との連携こそがビジネスの基礎となる

会社には、雇用契約や就業規則とは別に「メンバーシップ契約」という暗黙のルールが存在する。これは、「私は会社の仲間として一緒に働きます」という社員からの申し出・約束であり、それに応えて会社が社員としての地位を設定する。

このメンバーシップの本質は「統合」と「協働」にある。会社全体として見た場合、仕事のパーツ、パーツは有機的に「統合」されていなければならない。そのために他の社員と協力しながら働く「協働」の姿勢が不可欠になる。職場では常にこの「統合と協働」が求められ、社内での連携やコミュニケーションが生命線になる。

メンバーシップ契約は、最終的には「信頼関係の構築」が基礎にある。上司や同僚の信頼を得るには、自分の主張ばかりしたり、「この仕事は、自分には向いてない」とか「やった事がないから、できる自信がない」とか、不平・不満ばかり言うのではなく、まずは自分から何かを与えるという姿勢が必要である。

メンバーシップの中では、誰もができる事をベースに仕事を設計している。つまり、サラリーマンは「取り替え可能」である事が求められる。周囲と連携し「取り替え可能な自分になる」中で、ビジネスの基礎力が養われる。自分にしかできない仕事は、誰もができることの延長線上にある。