ビジネスでも人生でも、人と相対したときにどう振る舞えるかが結果を大きく左右する。外務省の分析官としてロシア外交の最前線で活躍してきた著者が、図太い人になる頭の使い方を紹介する。
■怒らない
直情的な怒りや衝動的な行動は、結局自分にとっても周囲にとってもマイナスになる事が多い。感情的な怒りを完全になくす事はまずできない。但し、感情が湧き出る事は抑えられなくても、それを別な方に向ける回路を組み込む事はできる。それには、理性がカギになる。例えば、この怒りは嫉妬からくるものなのか、コンプレックスからくるのか、焦りなのか。その出所がわかったら分析していく。
そのように論理的に感情の糸をほどいていくと、まずその作業自体で冷静になれる。これを「メタ認知」というが、物事を引いた目線で俯瞰してみる。すると怒っている自分を、もう1人の自分が客観的に見ているという構図が生まれる。この構図ができると、怒りで我を忘れるという状態にはまず陥らずにすむ。感情は、それ自体を完全に消し去る事はできないが、理性の光を当てる事によって、それを変質させる事ができる。但し、それには知識や経験が必要である。オススメは小説や映画に触れる事で、様々な人生を代理経験する事である。
グローバリゼーションの本格化によって、ヒト、モノ、カネが国境を越えて行き来するようになる。かつてのような高度経済成長の時代が再びやってくる事はない。
近未来、我々はどのような事態に直面する事になるのだろうか。中国やインドの労働者やエンジニアとの競争が激化する。政府が派遣労働の規制緩和を推進しているのも、伝統的な終身雇用制度を維持していては、日本の資本主義が生き残っていけないと考えているからだ。特殊な技能を持つ人を除いて、日本人の賃金は低下していく。
正社員として働く事は一層難しくなる。正社員として働くには、ブラック企業しか選択肢がないという状態になるかもしれない。仕事で海外勤務をするようになれば、現地で反日運動に巻き込まれる可能性もある。このような状況に対応できる人間力を強化する事が必要である。
著者 佐藤 優
1960年生まれ。作家、元外務省主任分析官 1985年大学卒業後、外務省入省。在英国日本国大使館、在ロシア連邦日本国大使館に勤務した後、本省国際情報局分析第一課において、主任分析官として対ロシア外交の最前線で活躍。 2002年、背任と偽計業務妨害容疑で東京地検特捜部に逮捕され、2005年に執行猶予付き有罪判決を受ける。2009年に最高裁で有罪が確定し、外務省を失職。 2005年に発表した『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。2006年に『自壊する帝国』で第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
マインドマップ的読書感想文 smooth |
週刊 ダイヤモンド 2013年 11/9号 [雑誌] 三省堂書店営業本部課長 鈴木 昌之 |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
まえがき | p.3 | 2分 | |
第1章 怒らない | p.15 | 18分 | |
第2章 びびらない | p.49 | 13分 | |
第3章 飾らない | p.73 | 13分 | |
第4章 侮らない | p.97 | 13分 | |
第5章 断らない | p.121 | 11分 | |
第6章 お金に振り回されない | p.141 | 15分 | |
第7章 あきらめない | p.169 | 11分 | |
第8章 先送りしない | p.189 | 13分 |
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