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情報は日常の変化に注意する

「本筋」を見極める「大局観」を持つためには、その時々の細かな動きではなく、より大きな歴史の大筋を見る必要がある。新しい情報は確かに魅力的だが、その多くは時々のエピソードに過ぎない場合が少なくない。それに振り回されてばかりでは、いつまでたっても「本筋」は見えない。外国へ行く度に、新大統領、新大臣、新社長など、新しい人に会いたがる人がいるが、むしろ古い友人を通じた「定点観測」から、その国の現状について話を聞く事が重要である。

大局観を持つための発想術

「大局観」による「先読み」のための発想法は以下の通り。

①地政学によって予測する
ある国や地域をめぐる国際政治は、その国家・地域の地理的位置関係とその歴史的背景を念頭に置く「発想法」で分析する事が最も将来を予測し易い。

②パワーの流れを掴む
国際政治・外交に限らず、およそ政治の世界ではマネーではなく、パワー(権力)の流れを掴む事が重要である。パワーは目に見えないし、移り気かつ不安定なもの。しかし、パワーは常に動いている。そして、条件が揃えば活発に動き出す。特に、国際社会の一定の場所でパワーが消滅し、一種の真空状態が生まれる時、パワーは最も活発に動き出す。典型例が革命や戦争。「力の真空・空白」状態を正確に検証しなければならない。

③一神教を知る
現在の国際社会を知る上で最も重要な概念は「一神教」という考え方である。現在の欧米文化の根底にはキリスト教文化があり、そのキリスト教の源流は「神との契約」という一神教の根本教義にある。細かい神学上の相違を除けば、ユダヤ教もイスラム教も基本は変わらない。この世の中で「一神教」的精神文明が支配する地域が地球上の過半を占めている。

④変人になる
人と違う発想をするには、巷に流布している様々な「常識」「多数説」を敢えて拒否すれば良いだけである。但し、これには問題が2つある。第一は、あなたの「少数派」が説得力を持つ必要があること、第二に他人があなたを「変人」だと誤解するリスクがあることである。日本の社会で24時間ずっと「変人」で居続けるには相当の覚悟が必要。もし「常識的な見方」の誘惑に駆られた時には、平時であれば一般「常識」に従い、「有事」であればその一般「常識」を疑うことである。

⑤立場を逆転して考える
「常識人」が「常識」に囚われる理由は彼らが自らの世界に安住しているからである。しかし、世の中は流転している。他人とは違う「発想法」の原点は、あなた自身の世界から抜け出す事である。相手の立場に立って、あなたの属する世界を見直す事ができれば、彼らが何を望んでいるか一目瞭然になる。そうすれば、相手の戦略も見えてくる。