気づきを与える言葉
・苦手なことはやらなくていい
どんなに「頑張れ」と言ったところで、部下は簡単には変わらない。部下にしてみれば、すでに「十分頑張っている」と思う。だから「頑張れ」という言葉は意味を持たない。それ以上、どう頑張っていいのか、新たな気づきを与える言葉をかけるべきだ。
日常の観察や個人面談を通じて、それぞれのスタイルを見極め「らしさ」を存分に発揮させる事が、メンバーの成長や成果につながる。そのためには「苦手なことはやらなくていい」が、部下を思い込みから解放する呪文になる。
・「イケてる自分」を思い出そう
部下のスタイルを見つける1つの解は「短所に光を当てること」だ。そして、短所を補うために、それをしなくていい方法を編み出す事である。短所をカバーできる強みを様々な視点で部下と共に考え、「これならできる」と思える事を丁寧に探していく必要がある。
上司の役割とは、まず「瞬間」を切り取って、強みを自覚させること。それには本人に「『俺ってイケてる』って思える瞬間は何か?」と問いかける事だ。その上で、仕事ぶりを振り返ってもらい、「その瞬間こそ、本当に自分の強みだ」と腹に落とす。
・「すごい人」より「できる人」になろう
「すごい人」とは、天賦の才に恵まれたスーパーマンである。何をやらせてもできる。一方、「できる人」とは、きちんと準備して、ぬかりなく問題を片づけ、スケジュール通りに確実に成果を出す人だ。「きちんとやる」を突き詰めて考えると、それは物事に対して真摯に向き合う態度に他ならない。「すごい人」を目指しても徒労に終わる可能性が高いが、仕事を「きちんとやる」態度は、努力すれば身につけられる。
・迷えることは幸せなことだ
迷って決めると、迷わなかった時よりも、決めた瞬間から「自分にはできる」という自信が増す。迷うプロセスでは、自らにとって最も効果の高い選択肢を必死に探る。選択肢ごとの未来を予測し、ストーリーをそれぞれ描く。現在とのギャップを検証し、最終的に「これだったらできる」という選択肢に辿り着く。正しい迷い方をすれば、未来への道はすでに歩いた道となる。
・「ムダ」を気にするな
上司は部下が「ムダなやり方をしているな」と感じると、思わず「ムダなことをするな」と言ってしまいがちである。しかし、上司にとってはムダに見えても、部下にとっては意味がある事もある。人にはそれぞれ「自分らしいやり方」がある。たとえ他人の目に非効率に見えてもその人らしいやり方であれば、それは否定すべきものではない。一方で、本当に今のやり方が効果的かどうか、部下に考えさせるチャンスも与えなければならない。