「意志の力」を使わずに行動を起こす
目標達成には、強い決意だけでは不十分である。その大きな理由の1つは、行動の機会を逃す事にある。他の目標のための行動をしていたり、他の事を考えているために目標そのものを忘れてしまったり、行動する機会が訪れてもそれに気づけない。
成功の鍵は、機会を逃さない方法を学ぶこと。それを実現するものが、条件型計画である。目標達成行動を、いつ、どこで実行するかを決めると、脳内で状況や手がかりと、それに続く行動が強く結びつく。例えば、「日曜日に夕食を終えたら、母に電話する」という計画を立てると、頭の中で「日曜日の夕食後」という状況が、「母に電話する」という行動と直接結びつく。
条件型計画を立てる事は、習慣を意図的に身につける事を意味する。この条件型計画は、無意識に行動が取れるので、意志の力を使わなくてすむ。そのため、自制心の浪費を防ぐというメリットもある。
少ない自制心でも動ける方法
目標達成までの過程は、必ずしも楽しい事ばかりではない。つまらないと感じている事は後回しにしたくなる。どれだけモチベーションが高くても、誘惑から身を守らなくてはならない。ここで登場するのが「自制心」である。自制心は筋肉のようなもので、定期的に鍛える事で強くなる。しかし、どれだけ鍛えても自制心は疲労する。長く、忙しい1日を終えた時、エネルギーが完全に力尽きてしまう事がある。自制心が消耗している時、それをできるだけ使わずに問題に対処するには、4つの方法がある。
①初めから手を出さない
いったん始めてしまった事をやめるのは、最初から手を出さないよりも難しく、多くの自制心が必要になる。ポテトチップスを我慢したいなら、袋を開けないのが一番。
②「なぜ」という理由を考え、自己監視をする
誘惑に負けそうな時には、目標を強く思い浮かべる。食事を始める前に体重計にのるのも食べ過ぎないために効果的。
③目標を同時に2つ以上追い求めない
誰であれ、自制心には限界がある。一度に多くの負荷をかけると問題が生じやすくなる。禁煙とダイエットを同時に取り組むと、両方に失敗する確率が高まる。
④適切な報酬を設定する
適切な報酬を設定する事で、動機付けが高まり、枯渇した自制心を補える場合がある。金銭的な報酬を活用するのも効果的。
目標達成のためには、自制心を鍛えると同時に、自制心にはどんな人であれ限界がある事を自覚すべきである。失敗しやすいシチュエーションを理解し、その状況に陥った時の対処策を計画しておく事が、日々直面する様々な問題をうまく処理しつつ、効果的に目標を達成する鍵になる。