コロンビア大学心理学博士が、「意志力」の仕組みを解説しながら、行動を起こすための様々な戦略を提示しています。
■目標ごとに求められる条件を理解する
願望は、はっきりとした目標に落とし込まなければ、いつまでたっても願望のままである。そう、目標の設定は重要である。目標には「困難で、忍耐力が求められる」「創造性が求められる」「正確さを重視したい」など、様々な条件がある。目標のタイプにはそれぞれ長所と短所があり、その状況に最もふさわしい目標を選ぶ事で、大きな効果をあげられる。
・簡単な事や得意な事をする時
能力を示すために結果を重視する「証明型」の目標と、達成によって得られるものに注目する「獲得型」の思考が効果的。楽観的な見込みが動機付けを高める。
・難しい事に挑戦する時
具体的に何をするかに注目する事で次にすべき事に集中する。また、目の前の成果よりも、長期的な成長や改善を重視する「習得型」の目標も有効。
・やる気が湧かない時
「なぜ」に注目し、目の前の行動の意味を大きな絵の一部と捉える事が役立つ。また、行動を先延ばしにしないために、失敗した時に生じ得る損失を直視する「防御型」の目標も有効である。
■自制心は筋肉のようなもの
自制心は、目標達成に不可欠な能力の1つであり、誘惑に打ち勝ち、他の目標とうまくバランスを取りながら目標に向かって粘り強く進むために大きく役立つものである。
心理学の成果によって、自制心は、「筋肉」のようなものだという事がわかりはじめている。個人差があるだけでなく、同じ人でも状況によって強い場合と弱い場合がある。自制心は鍛えても、激しく使えば疲労する。日常の些細な行動でも、多くのエネルギーが消費されている事がわかっている。そして、自制心は休息によって回復する。これを理解する事で、自制心の一時的な衰弱にうまく対処しやすくなる。
コロンビア大学ビジネススクール モチベーションサイエンスセンター 副所長 アメリカ心理学会他で幅広く活動する、モチベーションと目標達成の分野の第一人者。目標達成能力、自己管理能力、幸福感を高めるための最適なアプローチを研究している。 「ハーバード・ビジネス・レビュー」「フォーブス」などに論説を寄稿。
マインドマップ的読書感想文 smooth |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
Introduction 成し遂げるための科学 | p.15 | 10分 | |
第1章 ゴールをかためる:目的地は定まっているか? | p.30 | 19分 | |
第2章 なぜそこを目指す:目標はこうして決める | p.60 | 12分 | |
第3章 おのれを知る:自分の中をのぞきこむ | p.79 | 12分 | |
第4章 楽観するか、悲観するか:勝ちパターンをつかむには | p.98 | 17分 | |
第5章 ただ成功してもうれしくない:満足をもたらす三つの要素 | p.124 | 11分 | |
第6章 欲しいものと邪魔なもの:どんな目標も攻略できる | p.141 | 9分 | |
第7章 背中を押す:人を動かす科学 | p.155 | 9分 | |
第8章 地道に壁を越える:さまざまな障害物を知る | p.169 | 8分 | |
第9章 シンプルな計画をつくる:意志力にエネルギーを使わせない | p.182 | 8分 | |
第10章 自制心を日増しに伸ばす:自分をコントロールする力 | p.194 | 10分 | |
第11章 現実を見よ:現実的なオプチミストになる | p.210 | 8分 | |
第12章 あきらめるとき、粘るとき:「そんな目標」にこだわるな | p.222 | 7分 | |
第13章 フィードバックの魔法:指針がなければ進めない | p.233 | 11分 | |
最後に | p.250 | 2分 |
幸せはいつもちょっと先にある―期待と妄想の心理学 [Amazonへ] |
「やればできる!」の研究―能力を開花させるマインドセットの力 [Amazonへ] |
頭のでき―決めるのは遺伝か、環境か [Amazonへ] |
ポジティブ病の国、アメリカ [Amazonへ] |