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2013/10/29更新

勝負論 ウメハラの流儀 (小学館新書)

157分

2P

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目先の勝利にこだわっても勝ち続けられない

勝ち続ける事、成長する事とは、結局「できない事ができるようになること」である。そして表面的な勝利の確率は、できない事ができる事によって、結果的にはより高くなる。

何でも構わないから勝てばいい、という人がいる。しかし、なりふり構わずただ結果としての「勝ち」だけを追いかける人は、長期的には伸び悩む。成長を持続できないからだ。成果が出た事で甘えが生まれ、たるんでしまうのである。

効率を追求しすぎない

勝ち続けるためには、効率を最優先しない事だ。特に基礎を固めるような段階では、時間を使う事の価値は否定されやすい。しかし、この基礎固めの段階こそ、たとえ最初の内はボロボロに負けようと、人から笑われようと、納得できるまでじっくり時間をかけて回り道して考え、あえて定石やセオリーとされるものを疑い、時には崩してみる。自分で体験し、体験を通して学んでみる。そして、セオリーの意味を自分で再発見する。ニュートラルな、先入観のない状態をどこまで保てるかが、高みに上がるための絶対的な強さになる。

格闘ゲームに限らずどんな分野でも、基礎があって初めて個性が生まれる。個性が生きて、その先の「勝ち続ける」世界が開けてくる。この順番を間違えてしまうと、後から苦労する。好きだから、才能があるからといって、すぐに自分にしかできない事が発揮できるほど、勝負の世界は甘くない。

基礎固めは、非常に地味である事は否めない。しかも、その期間は意外に長い。1年なんて当たり前だし、5年かかるかもしれない。その間ずっと、地味で惨めな日々が続く。しかし、この段階を超えなければ、何の楽しみも幸福も得られない。

分解し、反復する

基礎固めで大切なのは「どうすればいち早く結果を得られるのか?」という発想をせず、「自分は何ができないから結果が出せないのか?」という考え方である。あるプレーができなければ、複雑に組み合わさっているそのプレーを、1つ1つのプロセスに分解する事から始める。新しいゲームに取り組む時は、一連のできないプレー、不得意なプレーを分解し、自分の手の動き、目の動きなどといった、細かいパーツに分解して検証していく。すると、どのポイントで自分がつまずくのかがわかるようになる。そこを反復して、重点的に練習する。

分解には、なぜそうなっているのか、なぜこれがセオリーなのか、どういう構造になっているのかなどといった「定石の本質」を理解できるメリットがある。だから、分解・反復が得意な人にはスランプらしいスランプがない。分解する事によってなぜそうなっているかを探る事ができ、反復練習で克服できるからだ。