部下のパフォーマンスに火をつける
部下のパフォーマンスを向上させたいのなら、まず個人の自己概念を向上させなければならない。自己概念とは、その人の持つ思い込みの集合体であり、人間の精神というコンピュータを動かすマスタープログラムだ。それは3つの部分からできている。
①自己理想
人は皆、自分の中に理想の自分を持っている。自己理想を持つ人は、その理想に少しでも近づこうと努力する。そして、自分が理想とする事を既に実現した人を見ると、尊敬の念を抱く。マネジャーの最も大切な仕事の1つは、この手本としての役割を果たす事だ。
②自己像
人は常に内側にある自分観によって、外側に出る行動を決めている。そして、人は内側の自己像を変えなければ、外側の自分も全く変わらない。自分の仕事についてマネジャーから具体的に褒められると、大抵理想の自分のイメージとも合致しているので、その人の自己像は向上する。その結果、自信も高まり、さらにいい仕事をしようとする。
③自尊心
仕事をする自分が好きになるほど、仕事の能力も向上する。そして仕事の能力が向上するほど、さらに自分の事が好きになる。同時に自尊心も向上する。
マネジャーの最も大切な仕事は、チームのメンバーの自尊心、自己像、自己理想を常に向上させるように努める事である。
部下に自己重要感をもたせる
部下が最高の状態で働くようにモチベーションを高める鍵は、彼らの自尊心を高める事だ。人は自分が重要な存在だと感じたいのである。マネジャーが部下の自尊心を高めるためにできる事は6つある。
①無条件で受け入れる
周囲の人に受け入れられれば、安心を得て自信を深め、自分の気持ちを正直に表現する事ができる。相手を無条件で受け入れるには、微笑む事だ。
②部下に感謝の意を伝える
人は感謝されたら自尊心を高め、自信を深め、自己像を改善する。感謝の意を伝える最も簡単な方法は、部下が何かをしてくれたら「ありがとう」と言う事である。
③愛想のよい人になる
明るくポジティブなマネジャーになると、気分よく仕事に取り組める環境になる。
④部下を頻繁に賞賛する
特に思い入れのあるものを賞賛されると、相手はその瞬間にあなたを好意的に見るようになり、心を開いてあなたの主張を受け入れる。
⑤あらゆる機会を利用して人を褒める
努力や業績に対する褒め言葉は相手を気分良くさせ、相手に「自分は重要な存在だ」と感じさせる事ができる。効果的な方法は、人前で褒める事だ。
⑥部下の話に耳を傾ける
相手の話に耳を傾けるという事は、相手に敬意を払うという事である。マネジャーが犯す最大の間違いの1つは、部下との会話をほとんど独占する事だ。