これまでセブン・イレブンのみに注目が浴びせられていたセブン&アイ・ホールディングスをグループ全体の視点から分析した本。コンビニから百貨店まで、様々な小売業体を持つコングロマリット経営の今後について、その目指している戦略を描く。
■9兆円企業
セブン&アイ・ホールディングスは、世界第2位の規模に匹敵する売上高9兆円の巨大流通グループである。その主要グループ会社を今期の会社計画営業利益の多い順番に並べると、セブン・イレブン2050億円、米7-Eleven497億円、セブン銀行346億円、ヨークベニマル188億円、イトーヨーカ堂168億円、そごう・西武120億円となっている。
セブン&アイ・ホールディングスの最大の特徴は、コンビニから百貨店まで幅広い商品を取り扱っているという事もあるが、グローバルで52000店、毎日5300万人以上が来店しているという圧倒的なトラフィックである。これを年換算すると194億人となり、世界中の人が1年に3回来店している事に匹敵する。日本だけ見ても、平均すると日本人1人が1週間に1回はセブン&アイ・ホールディングスのお店まで行っているという事になる。
セブン&アイ・ホールディングスは世界最強のオムニチャネルリテイラーになれる潜在力がある。その理由は7つ。
①15000店を超えるセブン・イレブンの拠点がある
②コンビニから百貨店までを傘下に持つ事による幅広い商品力を持っている
③セブン銀行が18000台の現金の入出金拠点を持っている
④市場認知率96%で、出産する母親の約半分が利用する赤ちゃん本舗をグループ各社の送客口にできる
⑤65万アイテムに及ぶ非生活必需品で楽しさを提案するロフトがロングテール商品を提供できる
⑥ヨークベニマルの「野越え山越え」の創業精神に代表されるお客様の立場に立った提案力がある
⑦イトーヨーカ堂の創業精神が引き継がれ、経営そのものが社会貢献活動と一体となっているCSRに取り組んでいる
著者 朝永 久見雄
リンカーン・インターナショナル シニア・アドバイザー Hidden Gems 代表パートナー 大学経済学部卒後、中央信託銀行に11年間勤務し、ファンドマネージャーに従事。その後セルサイド・アナリストに転向し、東京三菱証券、ドイツ証券、JPモルガン証券、シティグループ証券勤務を経て、2013年に小売業界に特化したコンサルティング会社Hidden Gemsを設立し代表パートナーに就任。 アナリストランキング: 2001年から2012年まで日経アナリストランキング小売り(大型店)部門において12年連続で首位、米誌インスティテューショナル・インベスターにおいて百貨店・GMS部門でも2010年に首位。
TOPPOINT |
日本経済新聞 法政大学教授 小川 孔輔 |
帯 一橋大学名誉教授 野中 郁次郎 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.1 | 4分 | |
第1章 オムニチャネル挑戦への序章 | p.11 | 13分 | |
第2章 セブン&アイ・ホールディングスの目指すもの | p.29 | 28分 | |
第3章 セブン銀行 | p.67 | 34分 | |
第4章 ロフト | p.113 | 13分 | |
第5章 赤ちゃん本舗 | p.131 | 21分 | |
第6章 セブンネットショッピング | p.159 | 23分 | |
第7章 ヨークベニマル | p.190 | 29分 | |
第8章 セブン-イレブン・ジャパン | p.229 | 27分 | |
第9章 7-Eleven,Inc. | p.265 | 15分 | |
第10章 イトーヨーカ堂 | p.285 | 25分 | |
第11章 セブン&アイ・フードシステムズ | p.319 | 11分 | |
第12章 そごう・西武 | p.334 | 18分 | |
最終章 | p.358 | 15分 |
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