「i モード」の生みの親である夏野剛氏による仕事術。どのようにキャリアを積めばいいのか、リーダーに求められるものは何か、新しいものを生み出すにはどうすればいいのか、といった内容が紹介されています。
■後悔しないための仕事術
①自分の殻を破れ
「殻」とは「今の自分にはできない」と自ら設定してしまう自分自身の限界の事だ。殻は必ず破れるものだ。しかし、殻を破った事を認識できるのは自分だけ。目に見えないから、人からは何の評価もされず、満足感もない。それでも殻を破るのは、自分が評価できない自分になるのが一番情けないからだ。安全な殻の中にいたら自分が全く成長できない。そういう人生で本当に満足できるだろうか。
■個性ある商品を生み出す
①自分の商品と思って魂を込めろ
ITによって、技術の組み合わせが無限といってもいいくらいに可能になった今、アンケート調査やマーケティング調査に基づいて何かを作ろうと思っても、それがヒットする確率は非常に低くなってしまった。そうなると、どういう商品・サービスにするかという意思を作る側が持たないと、まとまりのない商品・サービスになってしまう。
明確な方向性を持った商品・サービスを作るためには、開発するリーダーの意思がどれだけ入っているか。責任者の魂がどれだけ入っているかというアナログな事が極めて重要になっている。魂を込めるというのは、自分の人生を賭けて作れということ。自分の商品・サービスだと思って世に送り出せという事だ。中には、違う意見が出ると「では、その意見も取り入れて、私の意見も取り入れて、丸くしましょう」といった事をやるリーダーがいるが、そんな事をしていては、絶対にいいものはできない。だから、違う意見を持つ人との摩擦を恐れてはいけない。
②対価を支払う側になって考えろ
BtoCのビジネスにおいては、消費者、ユーザー、お金を支払う立場の人から見た時に、「今、こんなものが欲しいだろうな」「5年後だったら、もっとこうなっているものが欲しいんじゃないか」と予想する事が必要。考える時は、今の技術革新のスピードだと、来年くらいにはこれができる、あれもできるはず、という風に考える。さらには、そうした今のテクノロジーや進化のレベルなどの制約を全部取り払って考える事が、ヒット商品・サービスにつながる。
③公私混同せよ
商品・サービスを開発する当事者のライフスタイルが、ターゲットの消費者のライフスタイルに近い方が、いいものを生み出しやすい。但し、現場だけでなく、意思決定者のライフスタイルも消費者に近くないとダメ。
④義憤からイノベーションを起こせ
すべてのイノベーションは、義憤から始まる。義憤とは、非合理性、非生産性を憤ること。こうしたらもっと社会が良くなるのではないか、こうしたらもっとみんなが便利になるのではないか、こんな社会はおかしい、ということ。そこを直していく、正しくしていく事が、新たなビジネスにつながっていく。そして、みんなと違う事をやる事が必要だ。
著者 夏野 剛
1965年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部客員教授 大学卒業後、東京ガスへ入社。1995年ペンシルベニア大学経営大学院卒業。ベンチャー企業副社長を経て、NTTドコモへ入社。「i モード」「おサイフケータイ」などの新たな多くのモバイルサービスを立ち上げた。 2005年NTTドコモ執行役員、2008年に退社。 現在は、ドワンゴ、セガサミーホールディングス、ぴあ、トランスコスモス、グリー、トレンダーズなど複数の取締役を兼任する傍ら、客員教授を務める慶應義塾大学環境情報学部では「ネットワーク産業論」をテーマに講義する。 2001年、ビジネスウィーク誌にて世界のe ビジネスリーダー25人の一人に選ばれる。
帯 ライブドア元社長 堀江 貴文 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
まえがき | p.2 | 1分 | |
第1章 後悔しないための仕事術! | p.13 | 13分 | |
第2章 今こそ真のリーダーになろう! | p.61 | 9分 | |
第3章 最高の人間関係を作る! | p.93 | 11分 | |
第4章 仕事のベースは心身の健康! | p.133 | 10分 | |
第5章 家族は幸せの基盤! | p.169 | 10分 | |
補章 個性ある商品を生み出す | p.205 | 5分 |