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2013/10/25更新

「思考」を育てる100の講義

  • 森博嗣
  • 発刊:2013年8月
  • 総ページ数:224P

190分

2P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

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自分だけの思考を育てるヒント

人気作家が世の中の様々なことに疑問を持ち、問いを投げかけることで、「考える」こととは何か、その示唆を与える。世の中をブツブツ考える100のエッセイ集。


■明日死ぬと思って行動し、永遠に生きられると思って考える
普通の人はだいたい、先の事を考えろと言われると、どうせいつまでも生きられる訳じゃないから、と考えようとしない。そのくせ、これは明日やろう、これを来年やろう、と行動を先延ばしにしている。

明日死ぬと考え、同時にいつまでも生きられると考える。そういう想像が人間ならばできるはずだ。現実は、その両極の範囲内に必ず収まるので、どんな事態になっても想定内という事になる。自分の家族も、自分の愛する人も、この両方を考えて、それに従って行動し、考える事が良い。

■歩き始める前が、一番疲れている
犬の散歩に毎日出かける。早朝は、真冬だとマイナス20℃くらい寒い。全然やる気はない。眠いし、なんだか躰が疲れていて重かったりする。犬たちは行く気満々だが、僕は散歩にいってもメリットはないのである。まあ、しかたなく出かけるのだけれど、歩いている内に、だんだん歩くのが楽になり、帰ってきた時には、案外気持ち良くなっている。歩くほど疲れるのが、実は逆に感じられる事が多い。ほとんどのチャレンジにこれは共通している。やり始める前が、最も道が険しく見えるのだ。

超短要約

■今や、理由のないものが新しい
この何十年か、社会は理由を追い求めすぎたのではないか。これは情報化社会になって、みんながとにかく「知ろう」として、マスコミなどの情報発信側が、必要以上にこれに応えようとした結果ではないだろうか。すべてに何らかの理由があるはずだ、という信念は、科学が発達した事に原因があると思う。それまでわからなかったものが、次々に解明された。神や精神世界のせいにしていたものが、悉く原因のあるものだと考えられるようになったのだ。

理由を知る事で人々は安心する。しかし、理由というのは単なる言葉であって、その言葉を鵜呑みにする事が、理由を知る事だ。本当は理由が成立する原因を知る必要があるけれど、そこまでは求めない。

エンタテインメントの世界にも、いろいろな理由が持ち込まれている。人を感動させるものが何か、過去にヒットした作品を分析して、家族愛だとか、悲恋だとか、飼い主を失ったペットだとか、そういう理由が見出され、それがなければ、作品は当らない、と考えるようになる。要するに理由を知れば、そこに「手法」が現れ、みんながその手法にすがるのである。結果として、新しいものが生まれない。面白いものに理由があると考えている事が、そもそも面白くないものしか作れない理由だ。

■はっきりしない人間になろう
「はっきりしろ」と言われる事は多い。しかし、好きなのか嫌いなのか、自分はどんな人間なのか、そんなにはっきりわかっているのだろうか。はっきりしている人間というのは、つまりそれだけ「浅い」のだろう、と想像してしまう。人間の「深み」という言葉が示す通り、魅力のある人、尊敬に値する人、凄い人というのは計り知れない。現実も、いったいどこに本質があるのかはっきりとは見えないものである。物事を簡単に断定しない慎重さこそ「深さ」であって、意見を絶対に変えない頑固さが「浅さ」になる。

著者 森博嗣

1957年生まれ。小説家、推理作家、工学博士。 国立大学の助教授として「粘塑性流体の数値解析手法」の研究を続ける傍ら、小説を執筆。1996年、『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞。 大学や研究所等が舞台となることが多く、作風も相まって理系ミステリィと評され、話題を呼んだ。広義の推理小説と呼ばれるジャンルを中心として執筆していたが、近年は、恋愛小説、絵本、詩集といった他分野にも進出している。

この本を推薦しているメディア・人物

週刊 ダイヤモンド 2013年 9/14号 [雑誌] 週刊 ダイヤモンド 2013年 9/14号 [雑誌]
三省堂書店営業本部課長 鈴木 昌之

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
まえがき p.1 1分
1限目 未来を考え、現在に生きる「人生」論 p.13 19分
2限目 思考の盲点をつくらない「知識」論 p.41 22分
3限目 なまった理性を研ぎすます「感情」論 p.73 19分
4限目 疑問から本質に近づく「表現」論 p.101 29分
5限目 客観的思考を手にする「社会」論 p.143 31分
補講 思考に「遊び」をつくる森教授の視界 p.189 24分

この本に影響を与えている書籍(参考文献、引用等から)

バカの壁 (新潮新書) バカの壁 (新潮新書)
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