情報疲労時代のマーケティングストーリー
商品情報が多すぎて困るという背景から、消費者は様々な形で、意思決定の労力を省力化し、ストレスを回避しようとしている。
①選択肢スクリーニングで意思決定を支援せよ
絶え間なく入ってくる断片的な情報に優先順位をつけ、判断する事には大変な労力がかかる。このストレスを軽減しようと、消費者はオススメ=選択肢のスクリーニングを求めている。
ex.スーモカウンター(ニーズにあった物件の選択肢を提示する対面式住宅相談)
②リアル店舗で五感・直感に訴求せよ
情報疲労時代、判断に迷った消費者が、リアル店舗に回帰するといった状況が生まれている。「インターネットで商品を買う場合も、実物を店舗などで確認する」と答えた消費者は7割にのぼる。その理由は「微妙な色合いや質感、サイズなど、詳細な情報を知りたい」など。リアル店舗が果たすべき役割は、消費者の五感、直感への訴求である。
ex.LUSH、IKEA
③「お試し」体験で背中を押せ
「事前に調べれば後悔しないですむ」という意識が広がる事で、消費者の失敗を恐れる気持ちが強まっている。お試し体験により消費の安心感を得たいとする傾向は強まり、昨今では「購入する前に、お金を払ってもよいからその商品・サービスを実際にお試し体験してみたい」として、試用サービスにお金を払うという行動がみられる。
ex.ルンバブル(自動掃除機「ルンバ」の有料お試しレンタル)
④カスタマイズで消費の納得感を高めよ
その製品が「よい」か「悪い」かの判断を下す事に消費者は強いストレスを感じるが、その製品が自分に「合っている」唯一無二のものだと感じられた時の満足感は、そのストレスを軽減させてくれる。消費者の「自分らしさ」へのこだわりを強めるトレンドに着目し、カスタマイズの余地を提供する事が、顧客獲得の1つのカギとなる。
ex.スマートフォンのカバーケース
⑤モノが売れなければ体験を売れ
たいがいのモノには満たされている現在、体験・経験に価値を見出す消費者が増えている。商品やサービスのスペックではなく、そこから得られる思い出や感動、つながりなどの情緒的メリットを語れる企業が成功を収める。
ex.オイシックス「農業体験ツアー」、スバル「試乗はたのしーじょ」
⑥「社会をよくする消費」へのストーリーを構築せよ
リーマンショックや東日本大震災以降、社会に役立つ事を目指して生きる傾向が強まっており、社会貢献意識は消費の分野にも波及している。
⑦サステナビリティと「つながり」志向がもたらす共有型経済に対応せよ
モノを持つ事にこだわらなくなり、訴求力を強めているのが共有型経済である。これは「レンタル」「シェアリング」「交換・再配分」に分類される。