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2013/09/21更新

クラウドからAIへ アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場 (朝日新書)

178分

4P

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実用化され始めたAI

AIは今、とても身近な存在になろうとしている。例えば、「人間と会話するスマートフォン」「質問の意味を理解して、答えを返す検索エンジン」「人が運転しなくてもいい自動運転車」など企業は開発を進めている。これらの製品に搭載されている様々な技術、「音声認識」「自然言語処理」「画像認識」「機械学習」「ニューラル・ネットワーク(大脳メカニズムの工学的模倣)」などは、AIの中核をなす要素技術として、半世紀以上にわたって研究成果が積み重ねられてきたものである。

AIの進化

現在のAI研究は大きく3つの学派に分かれて行われている。

①文法や構文木のようなルールをコンピュータに教え込み、それによって知的処理を行うもの。

②ルールはほぼ無視して、大量のデータをコンピュータに読み込ませ、それによって統計的、確率的なアプローチから知的処理を行うもの。

③人間の大脳活動のメカニズムをコンピュータ上で再現する方法

現在、勢いを増しているのは②の学派。①は柔軟性に乏しく、実用化に向かないとする見解が主流となりつつある。統計・確率的AIというのは、例えばコンピュータが大量に読み込んだ文書を分析し、それに基づいて「I」の後には「love」が、「love」の後には「you」が来る確率が何%といったやり方で、「I love you」という文章を出力する。しかし、この方法ではコンピュータは肝心の意味を理解していないため、いずれ限界にぶち当たるという見方が根強い。そこで大きな期待を浴びているのが③である。

③では「ディープ・ラーニング」と呼ばれる、より低レベルの情報から高レベルの情報を段階的に導き出す機械学習の新方式が考案された。その結果、AIがユーチューブ上にある猫の動画(カラーの濃淡と画素の集合)を猫と認識するに至った。ディープ・ラーニングは、このピクセルという最も低いレベルの情報から、猫の輪郭や毛皮の模様などを構成するエッジ情報を獲得する。次に、このエッジ情報から猫の「目」や「耳」などのパーツ情報を獲得し、それらを組み上げる事によって最後に「猫の顔」という最も高いレベルの概念を、ぼんやりとしたイメージとしてディスプレイ上に表示した。

ディープ・ラーニングは、例えばアップルの音声アシスタント「Siri」やグーグルの音声検索に採用されている。

Siriのような言葉による操作は、スマホなど本来は高度なIT機器を、一挙に人間の側へと引き寄せる。これによってユーザーのすそ野が広がり、巨大なビジネス・チャンスが広がる。それによって生産されるデータは爆発的に増え、これがAIのさらなる進化を促す。現代のAIは人間が生み出すビッグデータを吸収し、自律的な機械学習によってそれを消化し、より高性能なものへと成長を遂げる。