稼ぐ力を身につけろ
事業のIT化やロボット化、グローバル化が進む中で、企業は従来こなしていた仕事では十分な利益を上げられなくなっている。そのため、どれほど大きな組織であっても、社員一人一人の「能力」と「成果」、言い換えれば「稼ぐ力」が厳しく問われる時代になってきている。
「仕事がなくなる」時代は「全く新しい仕事を生み出す」チャンスでもある。いかに「自立」して稼げるかが問われている。会社にしがみつくのではなく、「自立」して働く事ができるようになれば、世界のどこでも生きていける。
2030年にも生き残れるスキル
仕事というのは「平均点」を取っていたら、必ず業績が下がっていくものである。同業他社や異なる業態のライバル企業が入ってきて顧客を奪われるからだ。仕事というのは、自分で見つけて、自分なりのやり方に変えていくものだ。上司が「A」と言ったら「A+B」の仕事をこなさなければならない。「自分は今、会社に利益をもたらしているのか?」という問題意識を一人一人が持たなくてはならない。今後、必要とされるのは、会社に頼らずとも自分で仕事ができる「自立志向」の人材である。
2030年頃には「稼げる人」と「稼げない人」が二極化している。2030年に生き残れるグローバル人材になるためには、2つのスキルが必要だ。
①ハードスキル:会計、財務、マーケティング理論、統計学など
②ソフトスキル:国籍・文化の違う人たちとビジネスを円滑に進める能力
この2つのスキルは会社で普通に働いているだけでは身につかない。アフター5や休日に自分の時間を使い、会社の外で勉強しなければならない。
大前研一流「採用基準」
もし、私が今、就職や転職の採用面接官だったら、まず「あなたが当社に入社したら、具体的にどんな仕事ができますか?」と質問するだろう。それに対して「私は協調性があって同僚や部下と円滑に仕事を進める事ができます」とか答えるような人は、絶対に採用しない。与えられた仕事を与えられた通りにやっているだけの人には「名札」がつかないからだ。
また、「あなたは他の人にできないどんな事ができますか? 三つ挙げて下さい」と質問する。「私は同期の中で売上がトップでした」というだけでは採用しない。そういう人は、単なる体力勝負のモーレツ社員だけかもしれず、40歳を過ぎると使い物にならなくなる。一方、「新事業を提案して立ち上げ、10億円規模に育てました」「従来の主力商品とは別の商品を売って主力商品と同じぐらいに売上を伸ばしました」といった名札がつく具体的な「物語」を語れる人物なら、即採用する。この方法で、私はマッキンゼー日本支社長時代に540人を採用して成功したのである。
従来の仕事がなくなるなら、自分で仕事を創っていく発想こそが求められる。