緩慢な死を選ぶかディープ・チェンジに挑むか
ディープ・チェンジを拒み、現状にしがみつくという選択肢を選んだ組織には、際立った4つの特徴がある。
①蔓延(波風を立てない事を重んじる風土が蔓延する)
②裏切り(あと数年間、持ちこたえられればと緩慢な死を選ぶ)
③ビジョンの渇望(試練の時にこそ人々はビジョンを強く欲する)
④燃え尽き(変化に乗り出すエネルギーが残されていない)
こうして、組織が緩慢な死に向かっている時、そこで働く個人がとる行動は3つに分かれる。
①ことなかれ主義
②積極的脱出(転職)
③ディープ・チェンジ
マネジャーや組織が緩慢な死を見て見ぬふりをすれば、悲惨な結末が待っている。人はみな、ディープ・チェンジへの道を選ばなければならない。
未知で不確実なものに向き合え
失敗した時、ほとんどの人はその原因を「外部」に求める。自分にはコントロールしようのない要因に責任を押し付けるのだ。しかし、リーダーとして成功するためには、自分自身がたえず変わり続ける事が重要だ。そういう人物でなければ、組織の変化は生み出せない。成長を止めなければ、緩慢な死は避けられる。
成長を止めると衰退が始まるにもかかわらず、私たちはなぜ成長への歩みをやめてしまうのか? 私たちの現在の自己は、既存の行動パターンと深く結びついている。だから、私たちは、そういうパターンを手放せば自己が崩壊するのではないか、と心の中で恐れるのだ。
新しい思考体系を築くためには、新しい行動に足を踏み出すしかない。大切なのは、現状維持に甘んじず、未知で不確実なものに勇気をもって向き合う事だ。その一歩が踏み出せれば、視点が変わり自己が変わる。
未知の世界に乗り出すための手引き
①自分に栄養を与える
ほとんどの人は、成果があがりにくくなると、ストレスに押しつぶされて活力とやる気が低下し、その影響で視野が狭くなり、ますます既存の戦略にしがみつく。緩慢な死に近づく事を避けるには、自分の活力レベルをたえずチェックするのが一番だ。
②「タスク処理の論理」から抜け出す
タスクを処理しようとする時、私たちは大抵、既存の思考体系に従って行動する。これを断ち切るには、まず自分の外側の世界を意識し、次に過去の成功した体験を思い出し、さらに現在の自分の思考様式を掘り下げる。最後に、それまで築き上げていた自己防衛の壁を突き破る。
③新しい視点を持つ
自分の人生でとりわけ重要なストーリーを、現在直面している問題というレンズを通して語り直す。
④自分の中の偽善と臆病さに向き合う
自分の弱さ、強欲さ、鈍感さ、勇気の欠如を正面から見据えてはじめて、人は針路を修正する必要性をはっきり理解し、自己をつくり変えていける。