変化を拒み、現状維持を優先させていると、やがて外の世界の変化に対応できなくなる。組織改革を行うためには、自己改革が必要であるという内容が書かれています。
変化の激しい現在にこそ、読まれるべき1冊。


■組織を変革するには自分が変化しなければならない
組織と変革という2つの概念はそもそも互いに相容れない。組織を築くとは、システムを作って行動の予測可能性を高める事だ。行動を定型化する事で、効率は高まり、行動の質も向上する。しかし、パターン化された行動は同時に、組織を停滞と衰退に導いていく。変化し続ける世界とのギャップが広がるからだ。

環境の変化に適応して自分たちも変化を遂げるのか、それとも緩慢な死への道を歩むのか。厳しい競争にさらされている組織は、大抵はトップダウンで頻繁な自己変革を強いられる。しかし、実際にはこれと同じくらい正しいモデルとして、ボトムアップ型が存在する。

個人がディープ・チェンジ（根本的変化）するためには、現実世界にふさわしい、新たな思考の枠組み、新たな自己を築かなくてはならない。そのためには、リスクを背負って行動するしかない。

ビジネスの世界の基本的発想は、変化よりも現状維持を優先させる。組織を築くとは、物事を体系化し、秩序を維持し、安定した状態を保つ事に他ならないからだ。マネジャーは物事を定型化する事を期待され、リスクを伴う行動をとったり、新しい事を学んだり、物事を創造したりする事は望まれない。しかし、組織には変化と安定の両方が必要だ。

あらゆるシステムは、たえず変遷の途上にある。すべてのプロセスは「始まり」「不確実性」「変容」「定型化」という4段階による変革サイクルをたどる。エクセレンスは、このサイクルの中で実現する。

システムが劣化する事なく活力を維持するためには、たえず変革のサイクルを回し続けて、拡大と成長を続けなくてなならない。停滞は緩慢な死の原因になりかねない。それを回避し、ディープ・チェンジを続けるためには、変化への欲求を抱いて、変革のサイクルを回し続けるしかない。たえず自己と組織を評価し、変革し、つくり変えるのが唯一の道なのだ。

著者 ロバート・E・クイン

ミシガン大学経営学大学院 教授 ポジティブ組織研究センターの設立者のひとりで、現在は所長。官民のリーダーが組織における人間の行動を理解し、適切なマネジメントをおこなうための教育、コンサルティング、執筆に心血を注ぐ。 コンサルティング歴は30年を超え、これまでに数千人のマネジャーが彼の提唱するフレームワークを学び、現場に活かしてきた。