デジタルの世界で様々な無料ツールが登場し、インフラが整ったことで、様々な分野でイノベーションが起きる時代がやってきた。企業がこれからの時代に生き残るために必要なマインドセットを説く。
■デジタル・ディスラプションとは
顧客が何を必要としているか判断し、それを提供する事が価値である。デジタル時代の創造的破壊者は、これらすべてを従来よりも安く、短い開発期間で行い、顧客の生活に大きなインパクトを与える。
今やアメリカ国内でインターネットに接続できるコンピュータを持つ家庭は全体の77%を超えている。SDKは無料だし、99ドルでアップストアに登録できる。多くの子供は、ビル・ゲイツたちの若い頃よりも優れたツールを入手できる。しかも、ほとんどコストはかからない。この新しい経済社会においては、誰もが自分のアイデアを市場に出してテストし、改良し、最終的に何らかの創造的破壊を起こし続けられるのだ。
これは単なる競争的イノベーションではない。種類も規模もスピードも従来のイノベーションとは全く異なる「ディスラプション(破壊)」なのである。しかも、これはソフトウェアやアプリだけに限った話ではない。デジタル・ディスラプションは、どんな商品やサービスのいかなる側面にも起こせる。デジタルな手段を用いつつ、商品や設備といった実体のあるもののディスラプションを加速するのだ。
■デジタル・ディスラプションを起こすステップ
①自分自身にデジタル・ディスラプションを起こす
創造的破壊の最初の一歩はプロセスである。商品に破壊を起こす前に4つのステップで、プロセスに破壊を起こす。
1.創造的破壊を経営幹部レベルの優先事項に位置づける
2.部門間の壁をすべて特定し、これらの障壁を避けながらデジタル・ディスラプションへ到達する計画を立てる
3.小規模な改革チームをつくり、ディスラプションのチャンスを見つけさせる
4.潜在的競争相手をすべて洗い出し、彼らから学ぶ
②顧客から始める
顧客重視のスキルを身につけ、新しい商品体験を開発できるようにする。
1.自分が満たせる、または満たすべき顧客の根本的欲求を特定する
2.顧客の立場になって、彼らが次に求める利益は何か考える
3.顧客にとっての隣接領域のリストをつくり、自社で実現できる可能性のあるものを特定する
③トータルな商品体験をつくり上げる
次に提供すべき大きな体験を以前よりも早く低価格でつくり上げる
1.自社の商品体験へとつながるデジタルな橋をかける
2.まったく無料、ほぼ無料、実質的に無料なデジタル・ツールを使う
3.選り好みせず積極的に提携する
4.従来とは異なる指標で測定する
5.失敗を予想し、受け入れる
著者 ジェイムズ・マキヴェイ
フォレスター・リサーチ社副社長兼主席アナリスト デジタル・ディスラプション研究の第一人者。フォレスター・リサーチ入社前は学問の世界で活躍。シラキュース大学ニューハウススクール・オブ・パブリック・コミュニケーションズで博士号を取得し、ボストン大学で教鞭をとっていた。
週刊 ダイヤモンド 2013年 10/12号 [雑誌] |
帯 ハーバード・ビジネススクール教授 クレイトン・クリステンセン |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
Chapter1 デジタル・ディスラプションが持つ意味 | p.12 | 18分 | |
Chapter2 業務に変革をもたらすために思考法を変革する | p.42 | 15分 | |
Chapter3 無料のツールが破壊者を自由にする | p.66 | 12分 | |
Chapter4 デジタル・ディスラプターはデジタル・プラットフォームを使いこなす | p.86 | 13分 | |
Chapter5 「デジタル消費者」の欲求を満たす | p.107 | 15分 | |
Chapter6 より早く、より多くのアイデアを生み出す | p.132 | 15分 | |
Chapter7 トータルな商品体験を提供する | p.157 | 16分 | |
Chapter8 創造的破壊の準備はできているか | p.184 | 17分 | |
Chapter9 デジタル・ディスラプションへの道 | p.211 | 20分 | |
Chapter10 さらなる破壊へ | p.244 | 12分 |
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