「セリフが聞き取りやすい」と言われる劇団四季の「話し方」練習法。劇団四季の俳優たちが日々行っている発声法のメソッドの一部が紹介されています。
基本的には読むだけでなく、練習が必要ではありますが、美しい日本語が話せるようになる可能性があります。
■劇団四季3つのメソッド
日本の教育現場では、長く「読み書き算盤」が重視される一方、「話す方法」が抜け落ちている。日本の子供の多くは「正しい話し方」を知らない。さらに、様々な連絡事項をメールで済ませる時代になり、ますます話し方が下手になっていく。
「四季の芝居はセリフが聞き取りやすい」と言われる。発声の訓練が足りていない俳優は、たとえ何年やっていようとも舞台には上げないからだ。劇団四季創立以来ずっと、現代日本語による朗唱表現を追い求め、「聞き取りやすい」セリフの話し方を体系化してきた。中でも、セリフを正しく話すための基本レッスンである「母音法」と「呼吸法」は、どんなベテラン俳優であれ、毎日欠かさず行わなければならない。劇団四季の俳優が行っているレッスンには次の3つがある。
①母音法
②呼吸法
③フレージング法
■劇団四季の「セリフ」八カ条
劇団員に向けて、セリフの話し方について説明する時、次の八カ条を伝える。
①そのセリフで、何を語らねばならないかを確かめる。
②そしてそのセリフが、どういう構成になっているかを確かめる。
③その変化の構造を、カギカッコで囲む。(これを折れと呼ぶ)
④お腹の呼吸と、折れの変化を連動させ、母音のみでしっかり話す。
⑤次に子音を加え、自然に自然に、話しコトバとして語る。
⑥その際、決して入れてはならないのは「感情」である。
⑦セリフは感情を話すものではなく、「コトバ」のニュアンス(イメージ)を語るものである。
⑧その発想された「折れ」に、自分独特の感性、感覚を反映させるのが「個性あるセリフ」である。
著者 浅利 慶太
1933年生まれ。劇団四季 芸術総監督 1953年、慶應義塾大学、東京大学の学生を中心に劇団四季を結成。日本にミュージカルを定着させるとともに、ロングラン公演の成功により日本演劇界の興行形態を変革した。オペラでもミラノ・スカラ座などで『蝶々夫人』『トゥーランドット』などの演出を成功させ国際的評価を得る。 1998年には長野冬季五輪の開閉会式をプロデュース。近年では、社会貢献活動として、児童招待事業「こころの劇場」、学校現場へ直接訪問する日本語授業「『美しい日本語の話し方』教室」にも力を入れる。
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2013年 11月号 |
週刊 東洋経済 2013年 8/24号 [雑誌] |
週刊 ダイヤモンド 2013年 8/24号 [雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
第一章 日本語について―武器としての話し方 | p.7 | 14分 | |
第二章 母音法―正しい発声のために | p.33 | 17分 | |
第三章 呼吸法―腹式呼吸と声の出し方 | p.65 | 21分 | |
第四章 フレージング法―言葉はどこで切るべきか | p.103 | 9分 | |
第五章 劇団四季の歴史―言葉に対する探求の積み重ね | p.119 | 31分 | |
巻末付録 『美しい日本語の話し方』教室台本 | p.177 | 21分 |