建機大手のコマツをグローバル企業に躍進させた著者が、その経営改革をわかりやすく紹介。問題点がどこにあるのか、数字を通して本質を見抜く「見える化」の極意が語られています。
■ダントツ経営とは
ダントツ経営に至るまでには、いくつかのステップがある。コマツは製造業であるため基本となるのは技術と商品になる。ライバルの追随を許さない圧倒的に強い「ダントツ技術」と「ダントツ商品」である。現在のコマツでダントツ商品と定義しているものの1つが「ハイブリッド油圧ショベル」だ。通常の機種に比べて燃費は2〜3割優れている。
もちろん、商品や技術は必ず追いつかれる。ゆえに、次に目指すのが「ダントツサービス」になる。例えば、顧客のコストを削減したり、安全な操業を支援したり、顧客の困っている事を解決するための商品単独ではないサービスを指す。
コマツは「コムトラックス」という情報端末を販売した建機に搭載している。この端末を通じて建機の稼働時間や稼働状況が把握できるので、適切な時期に部品交換などのアフターサービスを提案したり、建機の効率的な使い方をアドバイスしたりできる。ここまでくると、ライバルはなかなか真似できない。
世界有数の競争力を持つ建機大手のコマツの基礎を築いたのは、坂根正弘氏が断行した数々の企業改革にある。坂根流の経営改革の本質は現状の正確な把握にある。絡み合った問題を解きほぐし、問題点がどこにあるのか、数字を通して本質を見抜くところが真骨頂だ。
「本質が見えれば、問題の半分は解決したようなもの」という坂根氏の言葉が示すように、すべての出発点は見る事だ。
著者 坂根 正弘
1941年生まれ。小松製作所 前会長。経団連副会長。 コマツ創立以来初の赤字800億円計上という厳しい時期に就任後、構造改革の断行により2003年3月期には約330億円の営業黒字というV字回復を達成。 欧米、中国、東南アジア、インド、アフリカなどの新興国にグローバル展開を進め、2009年3月期には売上高2兆円、世界第2位の建設機械メーカーに導く。 2009年米ハーバードビジネスレビュー誌の「在任中に実績をあげた実行力のある最高経営責任者(CEO)」のトップ100に、日本人トップの17位に選出された。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
週刊 ダイヤモンド 2013年 8/17号 [雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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プロローグ 「見える化」の達人は未来を読む | p.2 | 10分 | |
1時間目 「ダントツ経営」への道 「ないと困る」会社を目指せ | p.31 | 15分 | |
2時間目 「見える化」が強くする 本質を見極める力を養え | p.65 | 12分 | |
3時間目 為替に負けない生産 日本の強みをフル活用 | p.93 | 10分 | |
4時間目 世代を重ねて進化する 有言実行が強さを生む | p.117 | 5分 |