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2013/09/06更新

ものづくり成長戦略 「産・金・官・学」の地域連携が日本を変える (光文社新書)

136分

2P

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草の根の成長戦略

地域で活躍するものづくり現場改善の「インストラクター」こそ、ものづくりの現場の生産性を向上させ、成長戦略の土台となる。シニア世代の人材を活かしたものづくりの現場改善の事例などを紹介した1冊。


■ものづくりの生産性はまだまだ上げられる
日本の現場の生産性はまだまだ上げられる。製造現場において、顧客価値を本当に付加している時間の割合は、トヨタ自動車の有力な組立工場では50%程度に達するが、ほとんどの現場では5〜10%前後、あるいはそれ以下だという。

多くの中小企業で「生産性倍増」は決して夢物語ではない。その鍵は常に現場にあり、それを「良い設計・良い流れ」と呼ぶ。現場に「良い流れを作る」事が生産革新の要諦だ。実際に、赤字続きの会社が従業員全員で現場の問題解決にあたり、リードタイムの半減に成功し、2000万円の在庫削減を実現するなど、わずか1年間で赤字に転換させた例もある。

但し、このような現場の問題の真因は、経営の考え方の問題、マーケティング、営業、組織の体質の問題など「現場改善以前」という状況も多い。そこで現状の経営全体を「見える化」する事が何より必要になる。問題点を誰にでも見えるようにして、経営と現場がそれを一緒に認識できれば、その会社の改善・改革は半ば成功したといえる。

超短要約

新興諸国の賃金上昇により、グローバル競争の潮目は変わり、日本現場にとって最悪の苦難の時は終わろうとしている。今こそ、地域から始めて日本全体の生産性を高め、私たちの生活水準を高めるチャンスなのだ。

今の日本には、高度成長期から円高期まで、日本や海外での工場立ち上げを経験し、工場が小さかった頃に苦労し、それを育て、幅広い仕事を流れに沿ってこなしてきた現場の猛者が山ほどいる。

そういう方々が活躍できる場ができれば、それは同時に地域の活性化、工場の集団的な能力構築、そして産業を超えた知識連携につながる。ものづくりインストラクターを主役とする、現場発の成長戦略を粘り強く続ける事には大きな意味がある。

著者 柴田 孝

1946年生まれ。山形大学教授(産学連携)。 1969年米沢製作所(NEC米沢)入社。デジタル機器開発を先導、コンカレントエンジニアリング、デジタルものづくり手法など新しい設計管理手法を用い、ノートパソコンの事業化に成功。1998年から社内ベンチャーを立上げ経営に従事、2008年より現職。 中小企業の経営・生産革新、ものづくりインストラクター養成を推進中。

著者 藤本 隆宏

1955年生まれ。東京大学大学院経済学研究科教授兼ものづくり経営研究センター長 三菱総合研究所を経て、ハーバード大学ビジネススクール博士課程修了。 現在、東京大学大学院経済学研究科教授兼ものづくり経営研究センター長。 専攻は、技術管理論、生産管理論、経営管理論。

この本を推薦しているメディア・人物

日本経済新聞 日本経済新聞
福井県立大学地域経済研究所所長 中沢 孝夫

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
まえがき p.3 3分
第一部 第一章 ものづくり成長戦略とは何か p.17 14分
第一部 第二章 東大発、地域へ p.43 20分
第二部 第一章 地域一体でつくったスクール ―― 群馬県のケース p.81 12分
第二部 第二章 新たな地域産業政策 ―― 滋賀県野洲市のケース p.103 10分
第二部 第三章 劇的なV字回復の背景 ―― 山形県米沢市のケース p.121 10分
第二部 第四章 地域スクールを立ち上げるには p.139 4分
第二部 第五章 地方金融機関の役割 p.147 3分
第三部 第一章 全社一丸での「流れづくり」 p.155 3分
第三部 第二章 改善のダイバーシティ p.161 3分
第三部 第三章 褒めて育てる改善 p.167 3分
第三部 第四章 ひとりで見る夢、みんなで見る夢 p.173 4分
第三部 終 章 知識連携のネットワーク p.181 7分
あとがき p.193 2分

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