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2013/08/20更新

なぜ脳は「なんとなく」で買ってしまうのか? ニューロマーケティングで変わる5つの常識

227分

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変わる5つの常識

ニューロマーケティングでは、従来マーケティングでは信じて疑わなかったものをあえて疑う。

①「商品の名前を覚えてもらう事がコミュニケーションの最低条件である」のか?
マーケティングで初期投資の多くを知名アップに充当しようとする背景には、名前を覚えると、関与が高まり、やがて好意や愛着につながって、購買行動に結びつくはず、という仮説が根底にある。

しかし、脳の仕組みの研究では、銘柄を覚えるような記憶を「意味記憶」とし、使用体験やストーリー等の出来事を記憶する「エピソード記憶」や商品の使用所作など身体感覚を記憶する「手続き記憶」などを区別している。それぞれの記憶のタイプにより、脳で使われる部位やシステムが違っており、順序だって整然と連携するようにはなっていない。すると、知名アップにどれほど投資しても、それが深い記憶に刻まれる保証はない。

②「商品を魅力的に表現するメッセージが顧客の購入意向を刺激する」のか?
CM視聴中の脳波を観察すると、容易に想像されるストーリー展開や、よく見かけるタレントの商品カットなどが登場すると、脳は関心を失ったかのように反応が緩慢になる。その一方で、脳は商品の重要な情報が欠損していたり、なんらかの矛盾や違和感を含んでいる時に限って、生き生きと反応したりする。こうした点から、どんな魅力を訴求するかよりも、あえて何をどのように欠損させるかについて設計する必要があるのではないか。

③「商品の選択はオンラインへ、体験はリアルからバーチャルへ向かう」のか?
今や食べ物からファッションまで、あらゆる購買のバーチャル化が進んでいる。しかし、その一方で、脳の仕組みはバーチャル情報だけで完結し得ない。

脳の神経伝達回路には、感覚器官から入力され五感から脳へと至る「上り情報」と脳がそれを咀嚼・制御・処理し、とるべき所作と行動を促すべく、筋肉などの末端へ送り込む「下り情報」がある。そして、行動の結果をさらに感覚器官を通じて脳にフィードバックし、解釈・修正・制御を行い再び行動指令を起こす。そのため、購買体験のバーチャル化は、人間の五感入力に欠落を生じさせ、無意識の内に欲求不満を蓄積したり購買をためらわせていく可能性もある。

④「不都合や不満を最小化した商品は満足度が高い商品である」のか?
品質が完全に保証され、誰が使っても確実に同じように動作する商品を目指して、企業は製品のクオリティを高めてきた。ところが皮肉な事に、不確実性が減少されると、ワクワクのベクトルは降下していく。

⑤「国の文化や習慣を考慮しない商品やサービスは受け入れられない」のか?
人間の脳には普遍的なクセがある事から、このメカニズムを理解すれば、グローバルに対応できる可能性が見えてくる。