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2013/08/20更新

なぜ脳は「なんとなく」で買ってしまうのか? ニューロマーケティングで変わる5つの常識

227分

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脳科学でマーケティングの常識が変わるかもしれない

脳の働きを調べ、それをマーケティングに応用する。ニューロマーケティングという研究が海外では進んでいる。脳の働きが解明されることで、人の購買行動をもコントロールできる日が来る可能性もある。ニューロマーケティングの現状を紹介しながら、既存のマーケティングの常識を疑うことの有用性を説く。


■脳科学をマーケティングに応用する
2002年、神経細胞を意味するニューロンとマーケティングを合成した「ニューロマーケティング」という言葉が提唱された。これは、人間とそれを取り巻く外界刺激との相互作用を捉えるマーケティングである。

脳を知る事は、意識を知る事である。意識を知る事は、感覚を知る事である。そして、感覚を知る事は、そこに接するマーケティングを知る事であり、「脳」「意識」「行動」「マーケティング」の相互作用を知る事なのである。

従来のマーケティングは、顧客の需要を静的に捉え、その需要にあった商品の情報を「提供」してきた。これに対して、顧客と商品・サービスとの間の作用・反作用の振る舞いに応じてマーケティングを繰り出すのが、脳科学が切り開きつつあるマーケティングのアプローチだ。

超短要約

■マーケティングの常識を疑え
既存のマーケティングで信じられてきた、いくつかのマーケティングの法則を「ニューロダイナミクス」という観点から俯瞰すると、根本的な危うさが露呈する。従来の法則を覆し得る脳の仕組みから、マーケティングアプローチの可能性を検討すれば、様々な打開策が残されている。

①ブランド認知優先の法則
商品名を記憶するシステムは、商品のコンセプトや物語を記憶するシステムとも、その使用所作を記憶するシステムとも異なる。商品名を認知させたからといって、自動的に関心が高まったり、購買につながるとは限らない。むしろコンセプトや使用を通じた記憶を優先させる方が、ビジネスを広げる可能性もある。

②メッセージ訴求力の法則
商品やサービスについて、美しく語り尽くす事が逆効果となる可能性がある。魅力的な美辞麗句より、商品やサービスについての矛盾や、あえて伝えない重要情報等のディストラクターを設計する事で、脳を強制的に起動させ得る。

③バーチャル化の法則
購買検討や情報検索のバーチャル化が進めば進むほど、そのひずみとして五感感覚による確認欲求が高まる可能性がある。店舗体験は、応分の価格プレミアムを正当化するような豪華さの演出ではなく、五感感覚を最大に呼び覚ますような設計をする事で、スムーズな購買活動につながる可能性がある。

④満足総量普遍の法則
不満ゼロの商品が満足度を高めるとは必ずしも限らず、コモディティ化を助長するリスクをもはらむ。反対に、80点の商品が、顧客の介入余地を生み、マイナスの体験すらも商品への愛着に転化し得る可能性がある。

⑤アダプテーションの法則
脳や身体の仕組みに働きかけるような普遍的商品やサービスを設計できると、それはユニバーサルな商品・ブランドとなり、民族や世代、性別を超える可能性がある。


これらはあくまでも思考実験の域を出ることはない。しかし、マーケターは、自らが長く信じて疑わなかった多くのマーケティングの常識を、脳という擬人観点を活用して、原点から疑い、見直し、新しい洞察を得なければならない時が来ている。

著者 田邊 学司

株式会社GFL代表取締役CEO 博報堂にて20年間、マーケティングおよびブランディングに従事。主に新商品開発、イノベーション開発、ビジョン・コンセプト構築等を中心に、ブランド強化のための数多くのプロジェクトを手がける。 2009年、ニューヨークのニューロマーケティングコンサルタンシー「バイオロジー社」の社外取締役に就任し、国内及びグローバルでの非言語ブランドプロジェクトを推進。 2013年、独自のゲーム型直感リサーチシステム「ファンケート」を開発・販売する株式会社GFL(Gut Feeling Laboratory Inc.)を創設し、現職。

著者 小野寺 健司

コネクトグローバル代表 東北芸術工科大学大学院 客員教授 中央大学商学部 客員講師 早稲田大学商学学術院 講師 1975年に博報堂入社。1984年から1989年まで博報堂アメリカ副社長を務めたのち帰国し、マーケティング局でグローバル関連得意先を中心にプラニング業務を担当。 1999年から2012年まで、研究開発局でグローバル・ブランド管理、五感ブランディング、パコ・アンダーヒル氏とのショッパーインサイト、ニューロマーケティングを実践するブレインブリッジ等のプロジェクトリーダーとして、ツール開発・コンサルティングを行う。2013年4月より現職。

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土井 英司

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
第1章 消費者は本当に欲しいものを知らない p.1 29分
第2章 「なんとなく」へのあくなき探求心 p.41 34分
第3章 脳はテレビCMの何を見ているのか p.87 31分
第4章 キリスト教は知っていたブランドの秘密 p.129 23分
第5章 ニューロマーケティングで変わる5つの常識 p.161 22分
第6章 脳科学とマーケティングでつくる新しい関係性 p.191 16分
おわりに p.213 8分

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