顧客をしあわせにすることを経営理念に掲げ、社会貢献にも全力を尽くす会社がある。今でこそ、ソーシャルデザインや社会起業といった価値が脚光を浴びているが、フェリシモは30年近く前から、こうした事業活動を行なっている。
フェリシモの様々なプロジェクトから、企業が社会に貢献するとはどういうことなのか、が学べる1冊。
■顧客にしあわせの贈り手になってもらう
フェリシモは、衣料品や生活雑貨、ステーショナリーなど、様々な商品を企画し、カタログやインターネットで販売するダイレクトマーケティングの企業である。フェリシモでは「コレクションシステム」と呼ばれる販売方法が、高い支持を得ている。これは商品一点一点をお客様自身に選んで買って頂くのではなく、コレクション内の商品を定期的に届けるシステムである。
フェリシモの最大の関心事は「しあわせ」の創造にあり、「ともにしあわせになるしあわせ」という言葉を掲げている。自分がしあわせの創り手や贈り手になる事が、しあわせを一番感じる最大の方法なのではないか。そこで、フェリシモは、全国のお客様にもしあわせの創造の主体者になって頂けるような状況を提案し提供している。
毎年、日本全国の約140万世帯のお客様がフェリシモの商品を定期的に購入してくれる。どうしてフェリシモの商品は売れるのか。お客様から高いロイヤルティを持って頂く事ができるのか。
フェリシモで販売している商品のほとんどがオリジナル商品である。商品を開発する時や、新たな事業を始めようとする時には、徹底的にコンセプトづくりにこだわる。お客様にどんなしあわせをもたらすのかを明確にする必要があると考えているからである。
新入社員が入ってくるとこんな話をする。
あるケーキ屋さんの主人は、子供の頃からケーキづくりが好きで好きでたまらない。その人が大人になって念願のパティシエになる。創意工夫を重ねて、おいしく美しいケーキをつくり売るようになっていった。やがて人気の店になっていった。
ところがある時、すぐ近くに別のケーキ店ができた。賑わっているケーキ店があると聞き、ここに出店すれば儲かるだろうと考えた大資本だった。お金があるから何でもやれた。繁盛していたケーキ店の味を徹底的に分析して、成分から何から全く同じものを作った。
どちらのケーキ店から、ケーキを買いたいか。この話を聞いた人は全員、前者だと答える。それほどまでに人を惹き付ける重要な要素が前のケーキ屋さんにはある。そこを見落としてはいけない。それこそが、フェリシモで目指して欲しい仕事だと言う。フェリシモは「思い」のこもったビジネスをしたいのだと。
事業である以上、利益を出すのは当たり前だが、それだけのために仕事をしているわけではない。売れているから同じものを作ったらいいんじゃないか、という発想は絶対にしない。
著者 矢崎 和彦
1955年生まれ。株式会社フェリシモ 代表取締役社長 大学卒業と同時に株式会社ハイセンス(現・株式会社フェリシモ)入社。1987年代表取締役社長就任。 経営理念「しあわせ社会学の確立と実践」と中核価値「ともにしあわせになるしあわせ」の下、「事業性×独創性×社会性」の同時実現をめざす経営を実践している。 神戸商工会議所2号議員、神戸経済同友会代表幹事(2007年4月から2009年3月)、神戸市デザインアドバイザリーボード、神戸商工会議所デザイン都市推進委員会委員長、日本マーケティング学会理事、神戸大学大学院経営学研究所非常勤講師などを歴任。2010年に毎日経済人賞を受賞。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
週刊 ダイヤモンド 2013年 9/7号 [雑誌] 紀伊國屋書店和書仕入本部係長 水上 紗央里 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.1 | 4分 | |
Ⅰ 「しあわせ」という言葉を社名にする企業 | p.15 | 18分 | |
Ⅱ 「しあわせ」を創造するフェリシモの仕事 | p.55 | 49分 | |
Ⅲ 「しあわせ」をめざす仕事のスタイル | p.163 | 16分 | |
Ⅳ 「しあわせ」を生み出す経営 | p.199 | 7分 | |
おわりに | p.215 | 2分 |