根拠を意識する
根拠を意識する際には、次の2つの問題を考えなければならない。
①根拠として述べられている内容は「正しい」のか
②根拠が根拠になっているのか
さらに、クリティカル・シンキングでは「視点の多さ」も重要である。視点が多い方が、物事の全貌をよりよく理解できる。視点を増やすための一番手っ取り早い方法は、「もともとの主張とは反対の主張」をしてみる事である。
理解を深める
日本人は理解を深める作業が「当たり前のこと」とはなっていない。そのため「理解しているフリ」を無意識の内に演じている事が多い。理解したつもりにならないためには、以下の確認方法がある。
①5歳児に説明するつもりで話してみる
②カタカナ語を掘り下げる
③英語に訳してみる
④理解できている事とできていない事をリストに書き出す
⑤5W1Hでツッコミを入れる
⑥3色のマーカーを使って、理解できているかを色分けする
⑦急に意見を求められたら「よい質問」をして、理解を深める
クリティカル・シンキングの基本として必ずおさえなければならないのが、「事実」と「意見」を区別する事である。「事実」は何らかの形で証拠を示せるもの。目の前の「事実っぽいもの」に証拠はあるのか、という事を日頃から意識しなければならない。
視点を増やして発想を広げる
私たちは、無意識の内に「1つの視点」で物事を考えがちである。しかし、世の中には無数の立場がある。それぞれの立場には、異なる感じ方や思惑、事情がある。だからこそ、意識的に別の視点・立場を持ち出す必要がある。自分以外の視点を持つためには4つの方法がある。
①「スルーできない人(利害関係者など)」になりきって考える
ポイントは、その人が一番手に入れたいものを考えること。
②部外者のフレッシュな視点で、違った角度の見え方を手に入れる
・風刺漫画家が絵を描いたら(イジワルな視点で)どうなるか考えてみる
・人類、文化、民族など人類学者の大きなスケールで考えてみる
③「もう1人の自分」を活用する
自分の元々の立場に反対するもう1人の自分を作り、戦わせる
④「ツッコミリスト」で見直す
とにかく何でもツッコミを入れてみて、それが正当かどうか検証する。
未来の視点で現実的な選択肢を手に入れる
考え抜く時には、「これが現実のものになったとしたら、どうなるのか」という「先の予測」についても検討する必要がある。あくまでも現実ベースで先を見越す。その手順は以下の通り。
①「現実のものとなったら何が起きるか」シナリオを作る
②手を打つべき事はないか考える
③その行動は実行可能なのか考える
④その行動は今しておく必要があるのか考える