相手の「YES」を引き出す心理戦略
①交渉ごとは始まる前から始まっている
交渉の前にしておくべき重要な事は、交渉相手となる人物との距離をできる限り縮めておく事である。例えば、最寄りの駅から「場所がわからなくて」と迎えに来てもらう。駅から先方の会社に行くまでの間の会話を通じて、相手の個人的な情報を聞き出すのだ。ポイントは商談や交渉に関する話を一切しないこと。
②自己開示をすることで相手の本音を引き出す
特に初対面の場合には、相手の警戒心を解くためにも、自分から先に話すこと。相手に開示してもらいたい情報があるのなら、まず自己開示する事が先決だ。例えば、イベントの打合せなどで先方の予算ラインを知るために「僕も何冊か本を出してますけど、予算が厳しくてPR費が絞られてるんですよ〜」などと話題を振る。
③欠点を先に伝える事で強みに逆転する
新製品や新規企画をプレゼンする時は、製品や企画に欠点や改善すべき点、マイナス評価になりそうなデメリットがあるなら、最初に伝える。何よりも「誠実さ」の大きなアピールになる。人間の脳には、後から入った情報の方が記憶に残りやすいという特性があるため、欠点を先に言う事で後のメリットが際立つ。
④名刺交換で相手の心を探る
名刺交換をする時に試みるのが、相手に思い切り近づくという行動。名刺を渡した後、相手が近くなった距離のままその場に留まるのか、一歩下がるのかを見る。後ろに下がってある程度の距離を保とうとする人は、警戒心が強く、心に壁を作りやすいタイプ。警戒心が強いタイプには、どうやって信用してもらうか戦略を考える必要がある。
⑤1.3秒でその場の主導権を握る
挨拶は誰よりも早くする。そうする事で、その空間をあなたが支配しているという空気、優位性を演出する事ができる。「人に先んずる」と印象や記憶に残りやすいというメリットもある。
⑥相手がYESと言ってしまう時間帯を選ぶ
交渉事をするなら午後イチか、もしくはできるだけ夕方に近い時間に行なう。午後イチは、相手が昼食の直後であり、脳の働きが鈍くなっている。夕方は、一日の疲労が精神的にも肉体的にも高まっている。こうした時間帯には心のバリアが最も弱まり、周囲の情報に影響されやすく、周囲から説得されやすい。
⑦ランチとコーヒーで説得する
人間は同じ相手に対して、食事をしている時の方が圧倒的に好意的になりやすい。人は物を食べている時、心理的に無防備になり、心のバリアが弱まる。物を飲み込んでいる時、人は暗示にかかりやすいとも言われる。打合せの場なら、相手がコーヒーやお茶を飲んだ瞬間などは狙い目。