ウェブメディアでどう稼ぐか
どうすればジャーナリズムはウェブ時代にも生き残れるのか。そのために一番大事なのは「稼ぎ」である。
メディアが「紙」から「ウェブ」へシフトしていくにつれ、稼ぎ方はどう変わっていくか。収益の柱となるのは、広告収入と有料課金収入である。しかし、ウェブ広告は、紙に比べて競争が激しいため広告単価が低く、成長力にもかげりが見えてきている。
儲けるため仕組みは自ら創り出すしかない。そのための打開策が「データ志向の徹底」と「広告を面白くする」である。読者を会員登録へと誘い、基本的な属性情報を収集する。その膨大なデータを分析し、マーケティングに活かす事で、記事や広告のマッチング精度を向上させる。さらに大事な事は、広告主がおカネを出したくなるような、面白い広告を創る力を高める事に全力を注ぐべきである。媒体力があり、広告の企画力に優れたメディアであれば、ウェブメディアの世界でも高い価格で広告が売れていく。
ブランドコンテンツが有望
その切り札となりうるのが「ブランドコンテンツ」である。スポンサー広告とも呼ばれるこの商品は、企業がつくったコンテンツを、ウェブメディア上に掲載するサービスである。一般的な記事広告と違い、記事の内容がコンテンツ仕立てであり、会社の商品やサービスの宣伝がほとんど含まれない。米国のネット広告市場での成長力はピカイチで、既にフォーブス、アトランティック、ワシントン・ポストなどのメディアが参入し、投資を進めている。従来型広告の効果が弱まるにつれて、企業が自社発のコンテンツ作成に注力する流れは強まるだろう。
有料課金を成功させるための条件
広告は景気の波に左右されやすいため収入が安定しない。さらに収益には限界がある。従って、健全なジャーナリズムを守るためには、広告以外の収入源が必要になる。その本命が有料課金である。米国では「メーター制」による有料課金が大ブームになっている。一定数の記事は無料で見せて、一定数を超えると課金するという、フリーミアムモデルである。但し、有料化を成功させるには3つの条件がある。
①媒体が経済系かエリート(高所得者)系かデータ系である
人はビジネスや投資に役立つ経済系のニュースには、おカネを払う傾向がある。さらにB2Bにも強い。
②紙で築き上げたブランド力を持っている
ウェブ単体のメディアでは、あまり成功例が見つからない。
③無料サイトとしての圧倒的な実績がある
幅広い読者層を獲得しない事には、課金のベースとなるパイ自体が存在しない。
この条件で優等生に入るのが、ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、フィナンシャル・タイムズと日経新聞である。