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2013/08/24更新

5年後、メディアは稼げるか――Monetize or Die?

145分

1P

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これから日本のメディア業界は生き残れるか

紙からウェブの時代になった米国メディア業界は、これまでのように稼げなくなり、大きな変化にさらされている。この変化の波は、日本のメディア業界にも必ずやってくるという。

米国メディア業界がウェブメディアで稼ぐために行なっている改革を紹介しながら、日本の今後のメディアの生き残り策を考える。


■米国メディア界の大激震
テクノロジーのさらなる進化は、単にメディアを「紙」から「ウェブ」へ置き換えるだけでなく、メディア業界の形そのものを一変させる。

2012年末、米国を代表するニュース週刊誌『ニューズウィーク』が紙での発行を終了、オンライン版のみでの展開へ切り替えた。2005年に約300万部あった部数は、2012年までにほぼ半減。広告ページ数も8割減となり、近年の赤字は年間約4000万ドルにまで膨らんでいた。

過去10年間、米国メディア界は、インターネットの浸透による部数減、リーマンショックに伴う広告減、スマホやタブレットの普及といった大激震に見舞われた。新聞社の広告収入は過去5年間に半分以下に落ち込み、フルタイム職員数は、2000年の5.6万人から、2012年には4万人にまで減少した。大きな流れとして、米国で起きた事は、今後日本でも起こる。

超短要約

■メディア新世界で起きる7つの大変化
これから5年の間に、7つの大変化が起こる。

①紙が主役 → デジタルが主役
新聞、雑誌の場合は、紙であるメリットがほとんどない。これから紙とデジタルの「主客転倒」が進む。「デジタルを起点にして、紙、広告、イベントなどの戦略を考える」という姿へと急速にシフトしていく。

②文系人材の独壇場 → 理系人材も参入
メディア新世界において、競争力の決め手となるのは、コンテンツの質だけではない。同じぐらい重要なのが、テクノロジーとクリエイティブ、PDCAを繰り返すスピードである。コンテンツをつくる記者・編集者だけでなく、エンジニアたちもスターになる。

③コンテンツが王様 → コンテンツとデータが王様
メディア新世界では、コンテンツを売った「後」が肝心になる。その記事が読まれたか、どんな属性の読者が読んだのか、どの時間帯に読んだのか、どのページでサイトから離脱したのか、といった視点が欠かせない。求められるのは、データ分析のプロとマーケティングのプロである。

④個人より会社 → 会社より個人
デジタルでは「個人のキャラ」がモノをいう。主観を抑え事実をたんたんと書いた記事よりも、個人の色がにじみ出た記事の方がよく読まれる。

⑤平等主義+年功序列 → 競争主義+待遇はバラバラ
デジタルメディアでは、個人の貢献度が「見える化」される。どの記者が何本の記事を書いたか、どれくらいページビューを稼いだか、どの編集者の企画がヒットしたか、読者の評価はどうだったかがすべてデータで見られるようになる。

⑥書き手はジャーナリストのみ → 読者も企業もみなが筆者
オリジナリティのある読み物が、媒体力のコアになる。クオリティの高い読み物を提供できる書き手は、ジャーナリスト以外にもわんさかいる。

⑦編集とビジネスの分離 → 編集とビジネスの融合
デジタルの世界では、コンテンツ作成とビジネスがどんどん融合していく。どんな記事がページビューやリピート率が高いのか、どんな記事を読んでいる時、有料会員登録を考えてくれるのか、どんな記事に掲載される広告がクリックされやすいのか、といった事を運営者は意識しなければならない。

著者 佐々木 紀彦

1979年生まれ。東洋経済オンライン編集長 東洋経済新報社で自動車、IT業界などを担当。2007年9月より休職し、スタンフォード大学大学院で修士号取得。2009年7月より復職し『週刊東洋経済』編集部に所属。2012年より現職。

この本を推薦しているメディア・人物

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに p.1 3分
序 章 メディア新世界で起きる7つの大変化 p.13 10分
第1章 ウェブメディアをやってみて痛感したこと p.31 17分
第2章 米国製メディアは本当にすごいのか? p.61 24分
第3章 ウェブメディアでどう稼ぐか? p.103 27分
第4章 5年後に食えるメディア人、食えないメディア人 p.151 28分
おわりに p.201 2分

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