インターネットを介して、世界中の人材資源がつながる時代がやってくる。ホワイトカラーのほとんどは、海外人材との比較にさらされて、大幅な給与減に見舞われると予測。これからのキャリアを考えさせられる1冊。
■クラウドソーシングとは
クラウドソーシングは、インターネットを介して不特定多数のクラウド(群衆)にアクセスして必要な人材を調達する仕組みである。既に世界中の人材資源にアクセスして仕事の受発注が行われており、大企業の中にはクラウドソーシングを経営戦略の一環として活用しているところもある。
登録されている人材の職種は、デザイン、プログラミング、ウェブ制作・開発、ライティング、データ入力から、営業、研究、会計、法律まで多岐にわたる。ごく近い将来に、ホワイトカラーおよびプロフェッショナル職種のすべてがクラウドソーシングの対象となるだろう。今のところ、個人を主な人材資源の対象としているが、今後1、2年内にグループや組織も主な対象となってくる。
クラウドソーシングは世界規模で台頭してきている。2020年までには、世界のワーカーの3人に1人はインターネットを介して働くオンラインワーカーになるとの予測もあり、個人の働き方だけでなく、あらゆる組織の構造にも改革をもたらす。
これからの市場競争においては、品質を一定水準以上に保ちつつコストを削減する事が最低限の競争参加条件となる。そして、クラウド時代における世界競争に参加し続けるためにはクラウドソーシング資源の戦略的活用以外に方法はない。
大企業の多くの従業員にとっては、クラウドソーシングは冬の時代となる。一部の優秀な人材を除いては、クラウドソーシングで調達した外部人材と比較され、最悪の場合はリストラ対象となるかもしれない。会社に残れたとしても50%程度の給与カットを受け入れなければならないかもしれない。生き残るためには、自分自身のキャリア形成を真剣に考え、行動に移す事である。
著者 比嘉邦彦
東京工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科 教授 米国アリゾナ大学講師、ジョージア工科大学助教授、香港科学技術大学助教授を経て1996年東京工業大学経営工学専攻助教授、1999年同大学理財工学研究センター教授。2005年より現職。 テレワークおよびクラウドソーシングをメインテーマとして、組織改革、地域活性化、e-コマースなどについて研究。それらの分野における論文を国内外の学術誌や国際会議などで多数執筆・発表。 企業へのテレワーク導入ガイドブックの編集委員長、テレワーク推進フォーラム副会長を含めテレワーク関係省庁の各種委員会の委員および委員長を歴任。
著者 井川甲作松竹 システム室 マネージャー 大学卒業後、日本ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン(現ブーズ・アンド・カンパニー)入社。その後、ウルシステムズを経て、現在は松竹に所属、ICTの企画・開発業務に携わる。 ICTの戦略的活用、プロジェクトマネジメントを主要業務とし、製造業・エンターテイメント業を中心にコンサルティング経験及び実務経験を持つ。 2011年に東京工業大学イノベーションマネジメント研究科技術経営専攻から専門職修士を修得、現在は同研究科博士課程に在学し、分散環境でのプロジェクトマネジメント、クラウドソーシングなどについて研究。
Chikirinの日記 ちきりん |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.3 | 2分 | |
第1章 拡大するクラウドソーシング | p.7 | 18分 | |
第2章 クラウドソーシングサイトの類型と現状 | p.29 | 24分 | |
第3章 クラウドソーシングと個人の働き方 | p.59 | 31分 | |
第4章 企業のクラウドソーシング活用戦略 | p.97 | 34分 | |
第5章 クラウドソーシングの問題 | p.139 | 13分 | |
第6章 クラウドソーシングの行方 | p.155 | 18分 |
インターネットを通じて、不特定多数の人に業務を委託するという新しい雇用形態。 企業などがクラウ…
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