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2013/08/08更新

メディアのあり方を変えた 米ハフィントン・ポストの衝撃 (アスキー新書)

  • 牧野洋
  • 発刊:2013年7月
  • 総ページ数:256P

157分

1P

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新聞社が凋落し、新しいネットメディアが活躍する時代

日本版が創刊され注目を浴びる『ハフィントン・ポスト』。既存の大手メディアに並ぶ影響力を持つに至ったネットメディアはどのようにして生まれたのか。米国の新聞業界のいまとネットメディアが起こす新たな潮流がわかる1冊。


■原点はブログ
ハフィントン・ポスト(ハフポスト)の創刊は2005年。共同創業者のハフィントンの人脈によって、多数の有力ブロガーがハフポストへ投稿するようになった。5年あまりでブロガー数は数百人から9千人へ急増している。ブログは新聞で言えば論説面に相当する。但し、原稿料が発生しない。もっぱら広告収入に頼るネットメディアならではのビジネスモデルだ。有名人のブログが注目を集め、ハフポストへのアクセス数を押し上げる原動力になった。

「ネット上を流れるニュースはタダ」が常識になっている中、ネットメディアを立ち上げて収入を得るのは容易ではない。一方で、長期連載や調査報道など質の高い報道を手掛けるためには優秀な記者を大勢雇わなければならない。そんな環境下にありながら、ハフポストは営利事業として成功し、「アメリカで最も成功したネット新聞」と見なされるようになった。

2011年2月にAOLの傘下入りを決めた際には、3億1500万ドルの買収価格が付いた。買収直前の時点では、月間ユニーク訪問者数は2800万人に達し、全米ニュースサイトの10位以内に食い込んでいた。

超短要約

■凋落する新聞とよみがえるジャーナリズム
完成度の高いフィーチャー記事を書くのはベテランジャーナリストであり、ベテランジャーナリストの採用にはコストがかかる。ハフポストはブログやアグリゲーションで収益基盤をつくり、ピュリッツァー賞を受賞したデビッド・ウッドのようなベテランを採用できるようになった。

新聞デスウォッチを書いているポール・ギリンは、10年以内に印刷メディアが消滅している可能性を指摘している。一方でワシントン・ポストのデイナ・プリーストは、「職業としての記者の魅力は少しも衰えていない」と断言している。いったいどちらが正しいのか?

答えは「どちらも正しい」である。報道のプラットフォームとして印刷メディアが消え去ったとしても、フィーチャー記事や調査報道、ニュース解説などのオリジナルジャーナリズムの重要性は不変だからだ。

アメリカでは伝統的な印刷メディアが危機に陥り、NPO形態のネットメディアがあちこちに誕生している。だが、NPOは既存メディアを補完する役割を担うだけであり、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストと同じ土壌で勝負する訳ではない。

NPOに全面的に頼れないならば、利益を出し、優秀な記者に報いるビジネスモデルを構築しなければならない。そんなビジネスモデルの最有力候補の1つがハフポストだ。

著者 牧野洋

1960年生まれ。ジャーナリスト兼翻訳家 日本経済新聞社でニューヨーク駐在や編集委員を歴任し、2007年に独立。早稲田大学ジャーナリズムスクール非常勤講師。

この本を推薦しているメディア・人物

週刊 東洋経済 2013年 8/3号 [雑誌] 週刊 東洋経済 2013年 8/3号 [雑誌]

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
プロローグ p.3 10分
第1章 ジャーナリズム最高の栄誉 p.33 22分
第2章 原点はブログ p.77 19分
第3章 感染メディア p.115 22分
第4章 共同創業者が説く破壊的イノベーション p.159 21分
第5章 凋落する新聞とよみがえるジャーナリズム p.201 23分
あとがき p.247 3分

この本に影響を与えている書籍(参考文献、引用等から)

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