かつてハーバード大学で人気No1の授業を行っていた著者が、人生で幸福になるための選択を問う。人生のあらゆる場面で「選ぶ」ことこそが、よりよい人生につながるとする。
■「選ぶことができる」事に気付くこと
私たちは、決断する事を何か難しい事のように考えてしまいがちだが、実際は「すべき決断があり、私たちには選択肢がある」事に気付く事の方がはるかに難しい。実際、私たちの人生は、どんな時にも選択肢で満ちあふれている。
心理学の研究によって、幸福感の40%は「選択」によって決まると明らかにされている。何をするか、どう考えるかを選ぶ事が、どう感じるかを決めていく。例えば、仕事で昇進を見送られたり、ビジネスに失敗したとする。その経験を、二度と立ち上がれないほどの深刻な打撃と捉えるのか、それとも警鐘だと捉えて学びと成長の機会とするのかは、自分で決める事ができる。
「選ぶことができる」のだと気付く事は将来の成功の可能性を高めるだけでなく、いま現在の自分の気分も良くしてくれる。
■次の選択肢から、どちらかを選びなさい
×相手を打ち負かそうとする
◯Win-Winを見出そうとする
世の中のほとんどのぶつかり合いにおいて、どちら側にもメリットのある解決策を見つける事は可能である。相手を打ち負かそうとして戦いをはじめると、最高の価値を作り出すことではなく、壊す事にエネルギーをたくさん使ってしまう。相手を打ち負かして自分が勝った時の喜びは長続きしない。Win-Winがもたらす喜びの方がずっと長く続くし、その成果は、別のポジティブな経験につながる事がよくある。
×人生を生き急ぐ
◯じっくり味わう
私たちは質より量を優先する事により、とても大きな代償を支払っている。人生を楽しむための活動も、それがどんなに素晴らしいものであっても、次から次へと行っていれば、次第に喜びは感じられなくなってくる。世界で一番おいしい食べ物でも、ものすごいスピードで食べてしまえば、ちっともおいしいと思えるはずがない。生きる事においても「達人」になりたいのなら、人生がもたらす深みを味わうために、時に歩みを緩め、ゆったりと構える事が必要である。
×チャンスを見逃す
◯幸運をつくりだす
チャンスは頻繁に私たちの扉をノックする。それは何かの偶然であったり、幸運な巡り合わせであったり、予想もしていなかった贈り物だったり意外な出来事だったりするが、私たちは気にかける事はない。ラッキーな人とは、実はチャンスとの出合いに気付き、それをフルに活用して自ら幸運をつくっている人である。ほとんどの人が「意味のない偶然だ」と見る事を、ラッキーな人は「意味のある出来事だ」と捉える。さらに、幸運がやってくるのを待ったりせず、日々の生活に変化を取り入れながら幸運をつくりだしている。
×悲観主義者になる
◯希望をもって楽観的になる
将来を悲観的に見る事は将来をより暗くし、希望的に見る事は成功と幸福を引き寄せる。希望と楽観がベースにあれば、人間関係はよくなり、仕事は順調に進み、困難を乗り越え夢を叶えるための基盤が固まる。自分に、他人に、状況にどう期待しているかが現実を形づくっていく。
×結果を見る
◯プロセスを見る
心理学における数多くの調査が「人生をコントロールしている」という感覚が精神の健康に役立つ事を示している。しかし同時に、コントロールできない事を受け入れる事も精神の健康にとっては大切である。一見矛盾するこの2つの事は人生で大切な役割を果たす。私たちは目標を立てたり努力する事をコントロールする事はできるが、成功できるかどうかはコントロールの範囲を超えている。大切な事は、結果をコントロールしようとするのはやめて、できる限りプロセスに集中する事である。
著者 タル・ベン・シャハー
ハーバード大学 元教授 心理学・組織行動論専門 ハーバード大学で担当した「ポジティブ心理学」というクラスは、もっとも人気のある教養過程の選択科目となり、「ハーバード大学でもっとも人気のある講師」と呼ばれた。現在は、イスラエルのヘルツリヤ学際センターで教鞭をとる。
WEDGE |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.1 | 9分 | |
選択して生きる ほか | p.28 | 153分 |
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