150万足売れれば大ヒットと言われる子ども靴市場で、毎年600万足売れる『瞬足』。少子化で苦境にあえいでいたアキレスは、なぜ成功をおさめることができたのか。その開発チームが、『瞬足』が開発されるまでの舞台裏を明かしています。
■子どもの2人に1人が履いている靴
アキレスのシューズ事業部門が2003年に世に送り出した『瞬足』が150万足の年間売上に到達したのは、発売から2年後の2005年。その後も売上は伸び続け、2009年以降は毎年600万足前後を販売している。年間150万足売れれば大ヒットというのが常識の子ども靴市場で、瞬足は「常識を超えた靴」といえる。
それに加えて「左右非対称」という設計も、業界の既成概念を打ち破るものだった。「左回りのトラックを駆け抜ける際のグリップ力」を強めるために、あえて両足の靴底の左側にスパイクを配置し、滑り止め加工を施した靴を生み出した。
■『瞬足』成功へのポイント
①発想転換
「プロダクトアウト」から脱却し、「マーケットイン」に発想を転換した。
②徹底的な定点観測
13年間地道に子ども靴を撮り続け、トレンドの変化をキャッチした。
③自社の強み
老舗メーカーとしての高い技術力を支えてきた職人集団を持っていた。
④組織改革
開発サイドと営業サイドの情報を橋渡しするポジションを設置した。
⑤明確なポジショニング
あくまで自社の強みである「通学履き」ジャンルでの展開に活路を見出した。
⑥ぶれないコンセプト
「すべての子どもの背中を押せる靴」をチームで徹底共有した。
⑦革新的なアイデア
前代未聞の「左右非対称」の靴底を導入した。
⑧明確なセグメンテーション
『瞬足』投入時の購買層を「小学校低学年男児」に絞り、入口地点を攻略した。
⑨ブランド構築
「一過性」で終わらせないために、潜在ニーズをとらえた靴を開発し続けた。
⑩女の子市場の攻略
「運動靴≒男の子向け」の発想を転換し、「普段の日とハレの日の中間の1足」という需要をキャッチした。
⑪子どもの心をとらえる
子どもたちが「少し上」の文化に憧れを抱く「普遍的なワクワク感」を具現化した。
アキレス株式会社で低迷していた小学生向けジュニアスポーツシューズ事業を立て直すべく、2002年に「瞬足」開発のために集結したプロジェクトチーム。 商品開発、本社販社営業、販促宣伝などの精鋭らによって構成。
日経トップリーダー |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
帯 中央大学大学院戦略経営研究科教授 田中 洋 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.4 | 3分 | |
第一章 「瞬足」誕生前夜―― 子ども市場に逆風が吹く | p.17 | 26分 | |
第二章 「子どもの背中を押せる靴」の誕生―― 「瞬足」開発から発売まで | p.67 | 26分 | |
第三章 作り手の予想を超える驚異の大ヒット―― 瞬足ブランドがどんどん発展する | p.117 | 30分 | |
第四章 子どもたちのライフスタイルを応援する―― 瞬足はナンバーワンブランドとして社会貢献を果たす | p.175 | 17分 |
運動会で1番になる方法 (角川つばさ文庫) [Amazonへ] |