結果ではなくプロセスに目を向けて、目の前の事に集中する。そうすれば、失敗や焦り、苛立ちから解放されて、結果的には物事がうまくいくという原理を説く。仕事、趣味、スポーツなど、あらゆる事に使える思考法。
■結果ではなくプロセスに集中する
僕たちは「練習」というプロセスを経て、能力を身に付けている。音楽やダンスだけでなく、ぐずる子供をなだめたり、仕事をうまくこなしたりする事も「練習」によって上達している。
僕たちは、目標を達成するまでの「プロセス」を重視せず、「結果」を出す事だけにこだわりがちだ。目標に執着し過ぎて、達成するまでのプロセスで喜びを感じられるなんて思いもしない。ある地点まで到達すれば、たちまち幸せになるに違いないと思い込んでいて、そこに至るまでのプロセスは、耐え忍ぶべき時間だと考えている。
しかし、本来すべき「練習」をしようと思ったら、意志を持って、丹念にプロセスに取り組み続けなくてはならない。プロセスに集中していれば自然と望む結果がやってくるけれど、成果を重視していると、退屈や不安、苛立ち、焦りといった感情が顔を出してきて、自分との闘いが始まってしまう。
僕たちは、何につけても、待つという事ができない。今すぐに「成果」を欲しがってしまう。プロセスは端よって、いきなり成果を求め、何でも即刻手に入れなくては気が済まない。
こういう思考形式にとらわれてしまうのは、「簡単に満足したい」と思っているからだ。但し、簡単に満足はできるけれど、満足感はすぐ消えてしまう。単に物を手に入れる事で得られる喜びなんて、それを「達成する」までのプロセスからもたらされる恩恵に比べたら、取るに足りないものだ。
成果へのこだわりを手放し、ゴールに向かって努力し続ける事自体を重視するようになれば、おのずと我慢強くなる。忍耐力を発揮するという事が、当たり前の事になり、「忍耐強くならなければ」という感覚がなくなる。
「今ここ」に意識を集中させ、目の前の事に没頭して取り組む。この事を何よりも大切にしていれば、実現するまでのプロセスそのものを楽しめるようになる。葛藤が消え、穏やかな気持ちに満たされるだろう。
著者 トーマス・M・スターナー
ピアノ調律師 25年以上の経験を持つ。世界的な演奏家のピアノ調律を数多く手掛け、ヴィンテージピアノの修復も行なっている。自身もプロのジャズピアニスト。音響や映像の分野の知識も豊富で、作曲家としても活躍している。 東洋・西洋の哲学や、スポーツ心理学を学ぶ中で、「プロセスに集中する力The Practicing Mind」の大切さを知り、その気づきを活かして、音楽関連のスキルのみならず、ゴルフやアーチェリーなどのスポーツを習得する。
帯 脳科学者 茂木 健一郎 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.7 | 2分 | |
第1章 「今ここ」のプロセスに集中しよう! | p.15 | 11分 | |
第2章 結果や目標をいったん手放す | p.35 | 20分 | |
第3章 完璧をめざすのは、もうやめよう! | p.73 | 16分 | |
第4章 望ましい習慣を自分で選択する | p.103 | 10分 | |
第5章 すべては終わりのないプロセスである | p.121 | 16分 | |
第6章 「四つのS」というテクニックを使いこなす | p.151 | 10分 | |
第7章 「DOC」で驚きと発見に満ちた人生へ | p.169 | 15分 | |
第8章 子どもは、今この瞬間を生きている | p.197 | 9分 | |
終章 心穏やかで、充実した人生のために | p.213 | 5分 |