『デフレの正体』の藻谷浩介氏が、「開かれた自給自足」を目指す地域経済モデルこそが、今後の日本の生きる道だと主張。地域内でエネルギー自給を促進する岡山県真庭市やオーストリアなどの事例を紹介しながら、日本経済の新しい可能性を問う。
■マネー資本主義の限界
現役時代に老後の備えを積んでおく年金の仕組みは、企業が想像を絶する成長を続ける中で拡大した。企業や国の経済が成長している間は、それがいいやり方なのだろう。だが、前提となる「成長」が止まったら、どうなってしまうのか。実体経済の成長が頭打ちとなり、優良会社の株を買っておけば株価が上がり、どんどん資金が増やせる時代は終わりを告げた。
そもそも老後を豊かに暮らすためには、みんなが例外なく、年金をもらうしかないのか。「晴耕雨読」でいいではないか。自分で食べるものをできるだけ自分でまかなうから、買うものが少ない。だから年金をもらわずに生きられる。年金の仕組みなど存在しない頃に考えられた、老後の理想的な生き方である。
世界中の人がグローバルなマネーの恩恵にすがるしかない仕組みは、やはりおかしい。
「里山資本主義」とは、お金の循環がすべてを決するという前提で構築された「マネー資本主義」の経済システムの横に、お金に依存しないサブシステムも再構築しておこうというものだ。何かの問題でお金の循環が滞っても、水と食料と燃料が手に入り続ける仕組み、いわば安心安全のネットワークを予め用意しておく。
里山資本主義は非常時にはマネー資本主義に代わって表に立つバックアップシステムとして、日本とそして世界の脆弱性を補完し、人類の生き残る道を示していく。
著者 藻谷 浩介
1964年生まれ。日本総合研究所 調査部主席研究員 日本政策投資銀行 特任顧問 日本全国のほとんどの都市を旅行した経験を持ち、現地を歩いて回り、また沿革や郷土史を詳しく把握した上でその都市の抱える問題点を解析するという手法で、都市計画を提示している。 各都市をデータや数字だけではなく、沿革、郷土史を踏まえた上で分析するのが最大の特徴である。全国各地で数多くの講演会をこなしている。
著者 NHK広島取材班藻谷浩介とタッグを組んで「里山資本主義」という言葉を作り、1年にわたって取材・制作を展開。 井上恭介:報道番組チーフ・プロデューサー 夜久恭裕:報道番組ディレクター
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2013年 10月号 [雑誌] |
エコノミスト 2013年 9/24号 [雑誌] |
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PRESIDENT (プレジデント) 2013年 8/12号 [雑誌] |
404 Blog Not Found 小飼 弾 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに 「里山資本主義」のススメ | p.3 | 10分 | |
第1章 世界経済の最先端、中国山地―原価ゼロ円からの経済再生、地域復活 | p.27 | 23分 | |
第2章 二一世紀先進国はオーストリア―ユーロ危機と無縁だった国の秘密 | p.64 | 33分 | |
中国総括 「里山資本主義」の極意―マネーに依存しないサブシステム | p.117 | 24分 | |
第3章 グローバル経済からの奴隷解放―費用と人手をかけた田舎の商売の成功 | p.155 | 31分 | |
第4章 “無縁社会”の克服―福祉先進国も学ぶ“過疎の町”の知恵 | p.204 | 17分 | |
第5章 「マッチョな二〇世紀」から「しなやかな二一世紀」へ―課題先進国を救う里山モデル | p.232 | 12分 | |
最終総括 「里山資本主義」で不安・不満・不信に訣別を―日本の本当の危機・少子化への解決策 | p.251 | 29分 | |
おわりに 里山資本主義の爽やかな風が吹き抜ける、二〇六〇年の日本 | p.298 | 4分 |
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