地方に住む若者の生活を調査し、今の日本の若者の特徴を描く。
彼らはなぜ東京を目指さなくなったのかを考える。
■若者と余暇
広い国道とそれに沿って立ち並ぶロードサイド店と広大な駐車場。自動車での移動を前提とした街が増加している現象を「モータライゼーション」と呼ぶ。1990年代以降、モータライゼーションが生み出した、イオンモールに代表される大型ショッピングモール等が立ち並ぶ郊外は、地方の若者にとって「ほどほどの楽しみ」を与えてくれるものであり、彼らの余暇の満足度を高めている。
地方都市の「ちょうどよい」感じは、余暇の全く楽しめない田舎とも刺激的すぎる大都市とも異なる、地方都市独自の魅力につながっている。今の若者にとって、そこは理想的な生活の場である。
「地方にこもる若者たち」は既に、これまでとは違う形で外に開かれはじめている。彼らは「他人のことは分からない」ことを前提に、謙虚に、話し合いによって「われわれ」を少しずつ変化させていくという考え方を持っている。同質的であった「われわれ」を少しずつ変化させる事で、こもりつつ開けるという、新しい社会とのつながり方を模索している。
現代社会における「地方にこもる若者たち」の新しい生存戦略は、「新しい公共」のあり方を探るすべての人にとって有益なものとなる。
著者 阿部真大
1976年生まれ。甲南大学文学部社会学科 准教授 専門は労働社会学、家族社会学、社会調査論。
週刊 ダイヤモンド 2013年 7/20号 [雑誌] 丸善・ジュンク堂書店営業本部長 宮野 源太郎 |
週刊 東洋経済 2013年 7/20号 [雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.3 | 1分 | |
第1章 若者と余暇──「ほどほどパラダイス」としてのショッピングモール | p.10 | 17分 | |
第2章 若者と人間関係──希薄化する地域社会の人間関係 | p.44 | 11分 | |
第3章 若者と仕事──単身プア/世帯ミドルの若者たち | p.66 | 14分 | |
第4章 地元が若者に愛されるまで | p.94 | 33分 | |
第5章 「ポスト地元の時代」のアーティスト | p.160 | 7分 | |
第6章 新しい公共性のゆくえ | p.174 | 17分 |
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