O2Oの本質
インターネットを通じてリアル店舗に送客するマーケティングのモデルは「クリック&モルタル」と呼ばれて2000年頃から存在していた。ただ、これはあくまでリアル側が主体だった。つまり、リアル店舗のブランド力を活かして、オンラインでも商品を売るという事だ。
それに対して、O2Oはネットからリアルへと攻め込むもので、主体はネット側であり、流れが逆なのである。オンライン上の様々な仕掛けやクチコミなどの評価が、リアル店舗の売上に貢献するというモデルである。
PCがインターネットへ接続する主流のツールだった時代は、ネットとリアルの間のギャップが大きく、オンラインとオフラインをスムーズに行き来できなかった。その結果、「クリック&モルタル」は流行らなかった。ところが、今回スマートフォンが登場した事で、この悩みが一挙に解決した。
スマートフォンの登場で起こったこと
スマートフォンの出現で人々の消費行動が大きく様変わりした結果、以下の事が起こっている。
①スマートフォンに対して決済前、決済後に集中的に情報を送り、顧客を囲い込む
②SNSと連携し、クチコミという新しい市場を取り込む事ができるようになった
③ポイントによる顧客の囲い込み競争が熾烈になり、共通ポイントに勢いが出ている
④スマートフォンによるクレジット決済が数多く登場している
ヤフーのO2O戦略
日本でもウェブ事業者がO2Oの取り組みを始めている。最も活発な動きをみせるのがヤフー・ジャパンだ。O2Oの事業を展開するには、リアル店舗に利用者を送客して販売促進費を得なければならない。それにはサイトの「総合力」が重要になる。国内では、ヤフーがPVやネットサービスの豊富さで、スマートフォンを使った仕掛けづくりで先行している。
スマートフォンで今いる場所やこれから行きたい場所を検索すると、その地域のおトク情報やグルメ、ファッションの店舗情報が地図と一緒に表示できる「ヤフー・ロコ」。クレジットカード、ポイントカード、クーポンなどを入れて、買い物のたびに好みの決済手段を選んで使う「ヤフー・ウォレット」。
ヤフーはJCB、クレディセゾン、CCCなど実績のある有力カード会社と提携する事で、リアルでの決済サービス提供のスピードを速めている。ヤフー・ポイントとネット会員のIDを紐付けしてポイント交換ができるようにした。カード会社に加盟しているリアル店舗へは、ヤフー・ロコへの登録推進などを展開し、割引や優待情報を掲載して来店につなげる活動を始めている。
今はまだ、実店舗でスマートフォンを使ってヤフー・ウォレットで決済する事はできないが、近い将来、スマートフォンをかざすだけでいろいろな店でクレジットカード決済できるようになる。その時が、O2O完成の時と言える。