スマートフォンの普及により、人々のリアル店舗での購買行動にも変化が始まっている。ネットとリアルが融合する新時代に、ヤフーや楽天、アマゾン、CCCはどのような戦略を持っているのか。O2O戦略の最前線を紹介する1冊。
■O2Oとは
インターネットからリアル(実店舗)へ顧客を送客するO2O(online to offline)という新しいモデルが注目されている。
ネットショッピングの隆盛で大きく収益をあげたグーグル、アップル、アマゾン、ヤフーなどの米国大手ウェブ事業者たちは、リアル市場になだれこもうとしているのだ。
2011年の国内EC市場規模は約8.5兆円。それに比べて2012年国内の年間小売販売額は138兆円と言われる。ネット市場はほぼ掘り尽くしたと豪語している彼らにとって、リアル市場は十分に魅力的だ。
今、ウェブ事業者たちが自信を持ち始めたのは、これまで手の届かなかったリアル市場に、スマートフォンなら確実にリーチできると気付いたからだ。スマートフォンの登場により、ネットとリアルを「シームレス」に結ぶ事ができるようになったため、これまで難しかった決済関連のサービスがいろいろと実現している。
■端末基点マーケティング
スマートフォンの登場により、これまでの消費生活が様変わりし始めている。
価格:お店に行く前に商品の価格を比較
クーポン:GPSと連動。付近のどの店でクーポンが使えるか知る
買い物くじ:買い物とくじがワンセット。
SNS:「いいね」のつぶやきでポイントをもらえてお得に
アフター:ありがとメール、クーポン付きリボ勧誘
次回:比較サイト、GPS、ツイートを駆使して「今」一番お得な店を選べる
無料アプリやクーポン、ポイント、ギフトカード、電子マネーといった様々な電子サービスが登場し、人々は新しい消費スタイルを体験できるようになった。
事業者はスマートフォンを介してユーザーと接点を持つ事で、人々の購買意欲を高めるように働きかける事ができる。すべてをスマートフォンという端末を基点に考えるので、この方法を「端末基点マーケティング」と呼ぶ。
「決済前」「決済後」という時間の流れの中で、企業はメールやクーポン、ポイント、ゲームなど様々な「お得」「お楽しみ」を仕掛けて顧客を囲い込み、リピートにつなげていく視点が必要となる。
著者 岩田昭男
1952年生まれ。ジャーナリスト 月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活躍するジャーナリスト。IT・ソフトウエアに関する評論や書籍を著すほか、クレジットカードについては25年来取材を続けているテーマであり、セミナーの講師も数多く務める。 「岩田昭男の上級カード道場」で情報発信を続けるほか、All Aboutの「クレジットカード」のガイドを務める。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
TOPPOINT |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.2 | 3分 | |
CHAPTER 1 「端末基点マーケティング」のすすめ | p.12 | 12分 | |
CHAPTER 2 「楽天」VS「アマゾン」、いよいよ始まった頂上決戦! | p.30 | 11分 | |
CHAPTER 3 躍進する共通ポイント「T ポイント」 | p.47 | 21分 | |
CHAPTER 4 O2Oという大きなうねり―― ヤフー・ジャパンの挑戦 | p.80 | 31分 | |
CHAPTER 5 O2Oで変わる業種、変わらない業種 | p.130 | 6分 | |
CHAPTER 6 決済視点で読み解くO2O時代―― 決済は販促マターになる | p.140 | 15分 | |
CHAPTER 7 O2O時代を牽引する新盟主たちの実力 | p.164 | 15分 | |
CHAPTER 8 スマートフォンを読取機で使う仰天発想――次世代のジョブズが描く未来 | p.187 | 20分 | |
CHAPTER 9 O2O時代のクレジットカード会社のあり方 | p.218 | 6分 | |
CHAPTER 10 O2O時代の賢いカード選び―― カード+電子マネー+アプリ | p.228 | 8分 |
「online to offline」の略。 インターネットからリアル(実店舗)へ顧客を送客する施…