心理的なカベ(閉塞感の発生源)
現在の日本企業はバブル崩壊以降の厳しい経済環境にうまく適応できず、心理的なカベによって社員は疲弊しきっている。職場の閉塞感を生み出す心理的なカベは3つ存在する。
①将来の見通しを塞ぐカベ
未来に対して明るい展望を持つ事は、現在の苦労を軽減してくれる働きがある。しかし、企業もそこで働く社員も、将来に対する不確実性を強く感じている。事業の先行きが不透明である上、頑張っても給与が上がる見込みがない。組織のポストは減る傾向にあり、中長期のキャリアが描きにくくなっている。
②やりがいや成長実感を塞ぐカベ
デフレ経済下では、予算どおりの業績を上げるのが難しい。そもそも業績目標が高すぎる可能性がある。頑張っているのに業績が上がらない状況が2、3年続くと、社員としては頑張る意思がなくなる。
また、経済状況が悪くなり、リストラなどが行われるようになると「仕事の失敗」は即マイナス評価につながってしまう。そのため、新しい事に挑戦する気持ちもわきにくい。
③仲間との一体感を塞ぐカベ
IT化と共に事務作業は減ったが、人員も減っている。その結果、他人とのコミュニケーションが減る一方、残った社員が膨大な仕事をこなさなければならない状況が生まれ、余裕がなくなった。
構造的なカベ(閉塞感を生み出す元凶)
日本企業には変化への適応を拒む構造的な問題がある。この構造的なカベこそが閉塞感の元凶であり、このカベを乗り越える事なしには、心理的なカベを克服する事は不可能である。
①組織の逆ピラミッド構造
高度経済成長期に行われた新卒一括採用、およびバブル崩壊後の急激な採用抑制により、多くの日本企業が「逆ピラミッド構造」を形成してしまった。「年功」が重視されたため、経済状況が悪化する中で仕事の難易度や重要度とは無関係に組織の上位が肥大化してしまった。
②人材フローの停滞
日本企業の人材フローが目詰まりした理由の根本は、「インフロー」を新卒主体の一括大量方式で行い、「アウトフロー」を定年退職という先の長い地点に設定し、かつ、特に大企業において、この人材フローをなんとか堅持しようとしていたところにある。
このような雇用方式が、めまぐるしい経済の変動に対応するのが難しいのは、自明の理だろう。この結果、閉塞感漂う職場環境がつくられてしまった。
閉塞感のカベを乗り越えるための処方箋
①「逆ピラミッド構造」に立ち向かう
自社の人事評価の仕組みや内容をきちんと理解し、自ら主体的に働きかける事で,適切な評価を獲得し、競争を勝ち抜く。そ
②社外にも通用する人材となる
自分が置かれている境遇をいつまでも悲観的に嘆いているだけでは、職場の閉塞感はいっこうに解決しない。