超音波診断装置、LED、セグウェイ、ペイパルなど、様々な発明家のエピソードをもとに、その発明の源泉を読み解く。優れた発明を生み出すために、発明家が行っている事とは何か、必要な条件とは何かを紹介しています。
■発明の原動力とは何か
発明はイノベーションの要である。発明は新しい市場そのものを生み出す。そして成長する市場が経済発展の原動力になる。それでは、発明の原動力になるものは何か。問題を探し出し、知恵を絞って解決の糸口を見つけ、これまでなかった人気製品をつくろうとする動機は何なのか。
人と違う考え方をしてみる事に意義と喜びを見出す才能、それこそが発明家を発明に駆り立てる。発明は芸術の創造性と相通ずるところがあるのではないか。
発明家のように発想するには見方を変えなくてはいけない。それにはまず、消費者の立場で考えるのをやめなくてはならない。発明家はこう問う。「これはどんな仕組みなのか」「どうしてうまく動くのか」「どこを改良できるか」「なぜこうでなければならないのか」
彼らが最初に発明に手を染めたのは金のためではない。発明家は何かを創り出そうとする内なる衝動を持っている。その才能は好奇心を引かれたもので遊ぶ子供のような気質にその根があるのだ。
■発明とは
私たちは発明について根本的な認識から改める必要がある。「天才とは、勤勉さと粘り強さと常識である」といったのはエジソンだが、発明がたったこれだけの事でないのは明らかだ。
一般に考えられているのとは逆に、発明家とはヒット製品のアイデアを最初に思いつく者ではない。今日、発明家とは様々な分野から様々なアイデアを集めて、他人の思い描いた事を実現する者の事なのである。
■新しい可能性を創出する秘訣
発明はそのプロセスの違いによって4つに分類できる。
①既に利用されているものに欠点を見つけて改良する
ex.フラットパネル・ディスプレイ
②人が気付いていない可能性を見つけて生まれる
ex.ウォークマン、セグウェイ
③需要がありながら、うまくいかなかった問題に斬新なアプローチで解決する
ex.電球、飛行機
④発明した当人の想像以上に幅広い用途に使われる
ex.蒸気機関、レーザー
どのタイプの発明も可能性を創出してこそ形になって姿を現す。全く新しい可能性を創出する秘訣は、いま目前にあるものとやがて姿を現すだろうものとの間の巨大なギャップを想像する事だ。
著者 エヴァン・I・シュワルツ
作家 クレイトン・クリステンセンが創設した、イノベーションを中心とした経営コンサルティングを行なうグローバル企業イノサイトのディレクター。『ビジネス・ウィーク』誌の元編集者で、全米雑誌賞をグループで受賞。
帯 ハーバード・ビジネススクール教授 クレイトン・クリステンセン |
帯2 グーグル会長兼CEO エリック・シュミット |
tokuriki.com 徳力 基彦 |
帯3 マサチューセッツ工科大学 Institute Professor ロバート・ランガー |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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プロローグ 発明の原動力は何か | p.1 | 11分 | |
第1章 可能性を創出する | p.15 | 18分 | |
第2章 問題をつきとめる | p.37 | 19分 | |
第3章 パターンを認識する | p.61 | 15分 | |
第4章 チャンスを引き寄せる | p.79 | 18分 | |
第5章 境界を横断する | p.101 | 11分 | |
第6章 障害を見極める | p.115 | 18分 | |
第7章 アナロジーを応用する | p.137 | 15分 | |
第8章 完成図を視覚化する | p.155 | 19分 | |
第9章 失敗を糧にする | p.179 | 23分 | |
第10章 アイデアを積み重ねる | p.207 | 19分 | |
第11章 システムとして考える | p.231 | 21分 | |
エピローグ | p.257 | 10分 |
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