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2013/07/20更新

私がマッキンゼーを辞めた理由 ―自分の人生を切り拓く決断力― (ノンフィクション単行本)

119分

3P

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生まれて初めての挫折

2月の半ば、あるクライアントプロジェクトに入る時がやってくる。ドイツから新しくマネージャーが来て、クライアント先で2人きりの日々が始まった。何をするにも、2人きりで日本語ですらよく分からない内容を英語で理解して進めなければならなかった。

分からなくても訊ける相手もいない。マネージャーとはとにかく仕事の進め方が合わず、精神を削がれる毎日。次第に「メール1本打つのに何分かけてるの?」といった調子で日々の1つ1つの行動に対して、1分単位でコントロールされるようになった。

極度に緊張しているため、日中は飲み物以外のどを通らない。しかし、全然食べていないのに、ストレスで週末にまとまって食べるせいか、人生最高体重に到達した。日曜の午後になると呼吸が乱れ、月曜以降の事が心配でどこに出かけても全く楽しむ事ができなかった。完全に病んでいた。

「マッキンゼーでも完璧なキャリアパスを築いていくんだ」という自分への縛りが強すぎた結果、小さな失敗にも怯えいつも小さく縮こまっていた。「頑張ればなんとかなる」で生きてきた私にとって、生まれて初めての挫折だった。

死ぬか、今芸人をやるか

プロジェクトから解放されたが、もうこの会社にはいられないと思った。このあたりから歪んだプライドにしがみついていた意識が変わっていった。「仕事のために生きているわけじゃない。何もやりたい事もやらずになぜ死にたくなっているのだろう。なに『マッキンゼー』だからって振り回されてんの」

本当にやってみたかった事と考えた時に「お笑い芸人」が唯一、明確に頭の中に浮上した。お笑い芸人はずっと「生まれ変わったらやりたい」と思っていた夢の職業だった。ただ、そんな「夢みたいなこと」は、現実の人生で本業としてやるのはいけない事だとずっと思って生きてきたし、本気でやろうと思う事も一度もなかった。

しかし、「死んだ方がラクだな」と感じるまで追い詰められてようやく「どうせ死ぬんだったら、その前に本当にやりたかった事をやろう」という次のステップのヒントが降りてきた。

お笑い芸人になる

「お笑い芸人になる」と決めたものの、「マッキンゼーを辞めてもいいんだ」と自分を説得するのが大変だった。そこで3つの条件の中で1つでも当てはまれば、マッキンゼーに居続けるべきだと思った。

①好きかどうか
②人より得意か
③その先に目標があるか

いずれの答えもNOだった。マッキンゼーのオフィスからお笑い養成所をネットで検索して資料を取り寄せ始めた。そこでワタナベエンターテインメントのお笑い養成所に秋開講のコースがある事を知り、素人限定オーディションを受けにいった。人生という一度のチャンスをものにするためには、自分から動かないと始まらない。