無印良品の経営のカギは「2000ページのマニュアル」にある。徹底した「仕組み化」によって、会社を実行力のある組織にする経営手法を紹介しています。
■個人の経験と勘を「仕組み化」する
無印良品には、店舗で使っているマニュアル「MUJIGRAM」、店舗開発部や企画室など、本部の業務をマニュアル化した「業務基準書」という2つの分厚いマニュアルがある。この2つのマニュアルには、経営から商品開発、売り場のディスプレイや接客まで、すべての仕事のノウハウが書かれている。
MUJIGRAMは2000ページ分にも及ぶ。これほど膨大なマニュアルを作ったのは「個人の経験や勘に頼っていた業務を仕組み化し、ノウハウとして蓄積させる」ためだ。
仕事で何か問題が発生した時、その場に上司がいなくても、マニュアルを見れば判断に迷う事なく解決できる。これだけの事でも、仕事の実行力が生まれ、生産性が高まる。マニュアルの各項目の最初には、何のためにその作業を行うのかが書いてある。作業の意味を理解できれば、問題点や改善点も発見できるようになる。
マニュアルは、実行力を養うテキストであり、自分が「どう働くか」を考えるための羅針盤になる。
■モチベーションを高める仕組みが大切
実行力のあるチームを作るには、メンバーのモチベーションが高い事は必須条件である。部下のモチベーションを上げ、チームや部署全体の士気を上げるのに必要なポイントは2つある。
①やりがいを与えること
②コミュニケーション
仕組みを変えるだけでは、いずれ支障を来して動かなくなる。やはり、社員一人ひとりの心を無視できない。
無印良品では社員自身が満足できる商品を揃えるよう心掛けている。自分が欲しいと思う商品であれば、お客様にも胸を張って勧められる。そして、お客様に喜んでもらえると、それが自分にとっての喜びとなる。
モチベーションを維持する2つ目のポイントがコミュニケーション。とにかく伝達経路をシンプルにし、社員の意見や行動に対してしっかりフィードバックする事がカギとなる。
無印良品では「朝礼システム」というものがある。毎朝、店に社員が出勤してきてパソコンを立ち上げると、画面にその日やるべき業務や予算目標、伝達事項が自動的に表示される仕組みである。
■マニュアル作りで大切なポイント
①ボトムアップの仕組みを整える(現場の知恵を逃さない)
②新入社員が読んでも理解できる言葉で具体的に説明する
③その仕事が全体の仕事の中でどのような位置づけにあるのかを説明する
④部署あるいはチームという単位で普段の業務を洗い出していく
⑤リアルタイムで改善する(最低でも月に一度は見直す)
⑥部署ごとで作ったマニュアルは統一して全社で共有する
著者 松井 忠三
1949年生まれ。良品計画前会長 大学卒業後、西友ストアー(現西友)に入社。1992年、良品計画に入社、1993年取締役総務人事部長、1994年取締役無印良品事業部長、2000年ムジ・ネット社長、2001年良品計画社長、2008年同会長。2015年に退任。
PRESIDENT (プレジデント) 2013年 9/2号 [雑誌] |
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エコノミスト 2013年 7/30号 [雑誌] |
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週刊 ダイヤモンド 2013年 11/16号 [雑誌] 早稲田大学ビジネススクール教授 平野 雅章 |
週刊ダイヤモンド 2015年 6/27 号 [雑誌] 天狼院書店店主 三浦 崇典 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.1 | 3分 | |
序章 なぜ無印良品には"2000ページのマニュアル"があるのか | p.12 | 8分 | |
1章 売上げとモチベーションが「V字回復する」仕組み | p.27 | 22分 | |
2章 決まったことを、決まったとおり、キチンとやる | p.67 | 25分 | |
3章 会社を強くするための「シンプルで、簡単なこと」 | p.113 | 23分 | |
4章 この仕組みで「生産性を3倍にできる」 | p.155 | 23分 | |
5章 自分の仕事を「仕組み化する力」をつくろう | p.197 | 11分 | |
おわりに | p.218 | 2分 |
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