幸福度に関する国際比較の研究や、日本人への幸福度調査から、我々はどうすれば幸福度を高められるかを考察する1冊。
そもそも経済的に裕福になることだけで、幸せになれるのかを問う。
■人は高所得になればなるほど幸福度は高まる
どこの国でも「人は高所得になればなるほど幸福度は高まる」という命題は成立している。その論拠には以下のものがある。
①豊かな消費生活が満足を高める
②他人との比較において「見せびらかし」が幸福度を高める
③高所得の人は低所得の人よりも上にいるという優越感があり、幸福度を高める
④高所得者の多くが、高い学歴や上位の職業に就き、その誇りが幸福度を高める
■日本人は「幸せ」をどう考えているか
日本人の幸福度をアンケートにより調査した結果、以下の事がいえる。
①女性の方が男性よりも幸福度が高い
②年齢が高いほど幸福度が高い
一番幸福度が高いのは60代女性で、一番不幸度が高いのは30代男性。60代女性は、健康も保持されていて、子供は独立して子育てが終わった安堵感がある。30代男性は、まず失業者が多く、働いている人であっても会社でとてつもなく働かされている。
③健康な人の方が幸福度が高い
④既婚者は幸福だが、家族形態や構成に関しては複雑である
既婚者は幸福で、さらに子供がいない夫婦の方が幸福度が高い。これは子供を持てば時間がなくなるので時間が欲しいという希望。
⑤学歴は中学卒を除いてさほど幸福度に影響を持たない
学歴の低い人は最初から社会に出ても大成功しないと、諦めの境地である可能性が高い。逆に学歴の高い人は,自分への期待度が高いがそれを達成できる人ばかりでないので幸福ではないと思う人がいる。
⑥職業・雇用に関しては労働環境の良いところで働いている人ほど幸福度が高い
管理職や専門職の人の方が、ブルーカラーよりも幸福度が高い。フルタイムで働いている人の方が、非正規労働で働いている人よりも幸福度は高い。そして、大企業で働く人や公務員の幸福度が高い。ところが企業規模が10〜30人といった小さい企業で働いている人も幸福度が高い。これは大企業だと歯車として働かされる一方、小さな企業だと割合にやりたい事ができるので幸福度が高い。
著者 橘木 俊詔
1943年生まれ。京都女子大学客員教授 京都大学名誉教授 専門は労働経済学、公共経済学。
週刊 東洋経済 2013年 8/17号 [雑誌] |
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PRESIDENT (プレジデント) 2013年 10/14号 [雑誌] 東京工芸大学芸術学部教授 大島 武 |
エコノミスト 2013年 7/9号 [雑誌] 同志社大学大学院ビジネス研究科長・教授 浜 矩子 |
週刊 ダイヤモンド 2013年 7/20号 [雑誌] 丸善・ジュンク堂書店営業本部長 宮野 源太郎 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
序章 「幸せ」とは何だろうか | p.3 | 4分 | |
第1章 世界の人びとは「幸せ」をどう考えているか | p.9 | 12分 | |
第2章 日本人は「幸せ」をどう考えているか | p.25 | 24分 | |
第3章 最高に幸せな国―デンマークとブータン | p.57 | 21分 | |
第4章 不平等、再分配政策と幸福 | p.85 | 16分 | |
第5章 経済学は「幸せ」をどう捉えてきたか | p.107 | 16分 | |
第6章 定常経済時代の考え方 | p.129 | 15分 | |
第7章 「幸せ」を高めることの意義と政策 | p.149 | 18分 | |
あとがき | p.173 | 2分 |
社会における所得分配の不平等さを測る指標 1936年、イタリアの統計学者コッラド・ジニによって…
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